カルビーフードコミュニケーション
〈酸化〉を食い止めろ!パッケージ開発への飽くなき挑戦【後編】
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佐藤 徹氏

三和工業株式会社    専務取締役

国内屈指の包装材メーカーで、長年カルビーのパートナーとしてパッケージ開発に取り組む。パッケージコンバーティングのスペシャリスト。


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高橋 宏氏

カルビー株式会社    SMCグループ 生産管理チーム 原材料調達担当

カルビーにおける資材調達のスペシャリスト。日々、新しいパッケージの開発に奔走している。

原料価格高騰でパッケージが大打撃

佐藤

コンバーティングメーカーが仕入れる素材価格は、この2年〜3年の間に10数回も値上がりしています。まるで変動相場性ですよ。

高橋

フィルムは石油の塊みたいなものですからね、もろに直撃でしょう。単にフィルムの原料が石油ですよ、というだけではなく、加工の途中でも多量のエネルギーを使います。そのエネルギーのもとも石油ですから、原油の高騰は包装資材はもとより、商品の価格にも大きく影響しています。

佐藤

素材に近いものですと、相場連動性で1クウォーターごとに価格を取り決めていますというのもありますけどね、まさかポテトチップスを相場連動性でコンビニエンスと契約するわけにいきませんからね(笑)

高橋

加工度がませばますほど、価格変動は吸収するのが当たり前だと消費者は思っていますよね。農作物は不作、豊作で価格が上下する相場商売ができますけど、設備を整え、全国に11箇所も工場を建て、包装材にお金かけて、ポテトチップスをやっとの思いで販売しても、ポテトチップスは変動しちゃいけないんですからね。なかなか原料相場まで考えが行き着いてもらえないんですよね。例えば、原油価格が上がると食肉牛の値段が上がるといわれるのは、最近トウモロコシのバイオエタノール化によって飼料原料がどんどんエタノールに流れたことで、今度は牛の食べるエサの穀物相場もアップして、牛一頭を飼育するのにかかるコストが2倍、3倍となってしまう現象が起きていますね。こうなってくると、食物連鎖の中に原油もいれないといけないですよね(笑)

佐藤

確かにメーカーには厳しい状況ですが、10-20年と長いスパンで考えて、そもそも包装材の役割が何であるのかという原点は見失わないようにしないと。

環境にやさしいパッケージ

佐藤

4月から自治体のゴミ処理区分が変わったことで、環境負荷の問題が言われていますね。

高橋

食品である以上は「安全」であることが第一条件ですから、消費者にとっての「安全」を留保担保させるためには、(パッケージは)やむを得ざる処置だと考えています。特に日本のように高温多湿なモンスーン気候、さらに(蛍光灯の光にさらされ続けるような)劣悪な環境下で流通させていくとなると、商品の安全性を保持するためにはそれなりの機能を持った包装材が必要となってきます。日本に来た欧米人は決まって完全なオーバースペックだと驚かれますが(笑)

佐藤

アルミは金属感があるため、燃えないと思われがちですが、ポテトチップスのパッケージ残渣はゼロに近いんですよ。自治体によっては燃えないゴミだと言っているところもありますが・・・。

高橋

いっときKOP(塩化ビニリデンオーピーピー)がダイオキシンの発生源だと魔女狩りのように言われた時期がありましたね。

佐藤

今では800度以上の燃焼で限りなくゼロになることが学術的にも証明されています。ダイオキシンの発生はむしろ食品の塩分の残りとかのほうが多いくらい。ただ、今日では燃やすこと自体をCO2の発生ということで国が規制していますから、今後、カルビーのパッケージはどんどん減量していってゴミを残さない、かといって機能は落とさない、ということが求められてくるでしょうね。

高橋

生分解性フィルムに一時チャレンジしたことがありましたよね。あれは進んでいるんですか?

佐藤

100%分解は不可能ですね。用途によって、たとえばバリア性も何もなくてもいいというのであれば作れますが、やはり機能を求めるともう一方で環境的な負荷は相反する方向になります。ただ、これまでカルビーと40年にわたりさまざまな開発をしてきましたが、安全を追い求めると包装材は人に優しくなってくるというのがカルビーとの共通の信念でした。あの当時、いきなり40%もコストのあがるパッケージを経営判断で採用された経緯も、結果的には現在、消費者が安全な商品を安く手に入れられることにつながったわけですし。環境も同じですよ。より安全を求めれば求めるほど、いずれ包装材は環境に優しくなってくると信じています。

挑戦は続く

佐藤

まだまだ可能性を模索している段階ですが、現在ユニバーサルデザインの観点から、開け易い袋=「イージーオープン」の技術開発にチャレンジしています。輸送中にバーストすると安全の基準から外れてしまうので非常に難しい技術ですが、理想は、輸送中はバーストしにくいけれど、お手元に届いたときには開けやすい袋。本来は安全=全密封が原則なわけですから、工場側からはもっと(接着を)強くしてよと言われるわけです。逆に、メーカー側はもっと開けやすいパッケージを作りたいという要求が当然ございますので、「開きやすい」と「開きにくい」は逆方向だから不可能です!と喧々囂々とやりあった時期もありました(笑) 後は、環境負荷に対して、パッケージ減量化に向けて超薄膜化を検証する一方で、素材の統一化ができないかを研究しています。機能は違っても元々の素材は同じものでコンバーティングできればリサイクルができるようになるはずです。

高橋

パッケージの制作期間はどのくらいかかってますか?

佐藤

開発段階が早くても実用化まではものすごく複雑なプロセスがありますので、一概には言えませんが、ひとつのパッケージに2年はゆうにかかっていますね。それでもいまだに実用化していないものもあります。

高橋

消費者は一袋100円程度のポテトチップスの袋に、これほど苦労しているとは思っていないでしょうね。

佐藤

さきほども話が出ましたが、中身が見えないことが当たり前だというのは、私たちが安全という価値観で開発していったものとは全く関係ないところで市場が動いただけで、いわゆる流行ってやつですね。確かに(市場環境の変化によって)瞬間的にはコストの問題とか出てきているでしょうが、今後も安全を追求すればするほど、今問題となっている諸問題も必ず解決できると信じています。

編集後記

現在のように原油やその他の原料価格が高騰している中でも、商品を守るパッケージとしての品質を損なう事なく、いっそうのコストダウンしていかなくてはならないのですから大変なことですね。さらに最近では環境負荷にも配慮する必要がある訳ですから、きっとこれからもパッケージの進化は留まることは無いのでしょう。今後も適時調査を継続して下さい。ご苦労様でした。

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