第三者からのご意見

明るい未来が見えている ~これからも情報開示を通じて、信頼される企業へ~

中嶋 洋介氏

一般社団法人 品質と安全文化フォーラム 代表理事
中嶋 洋介

内閣府 消費者委員会 消費者安全専門調査会委員(第1次)
機械安全標準化特別部会 ISO/TC199委員
大妻女子大学 人間関係学部 元非常勤講師(消費行動論)
安全、リスクマネジメント分野における著書や論文を多数発表している

はじめに

「社会・環境報告書2016」の作成者にお話をお伺いし、追加の資料をいただき、WEB情報などを参考にしながら、報告書を読ませていただきました。以前から、戦後の食糧難時代に、国民の栄養源であるカルシウムのカルとビタミンB1のビーを組み合わせて、社名を「カルビー」としたことや、会長と社長以外の取締役はすべて社外の方であること、女性の管理職や執行役員への登用に積極的な企業であることなどを知っていたので、興味深く読みました。

創業者と現経営者のDNA

報告書についての第一印象は「創業者の松尾孝氏のDNAと2009年に会長に就任された元ジョンソン・エンド・ジョンソン(以下J&J)日本法人社長 松本晃氏のDNAが上手く交じり合って、予想していたとおりカルビーが先進的な企業に生まれ変わっていた」でした。
カルビーは創業の時から消費者指向、向社会性の高い会社であったようで、1972年に神戸市が製造年月日の表示を義務付ける条例を制定した際、菓子業界はこぞって反対したのですが、カルビーだけが賛成したとの記録がカルビーの資料にありました。このような消費者指向の姿勢、鮮度、消費地立地、品質保証、表示などにこだわる創業者のDNAは今も企業活動に色濃く現れています。

報告書に息づくDNA

一方、報告書のグループビジョン、グループ行動規範、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス・リスク管理などを初めとして、報告書のすべてのページに松本会長のDNAとJ&JのDNAが息づいているように見えます。
特に、特集1の「A・A・O活動(安全・安心・美味しい)」を紹介し、安全・安心に向けて実直に努力していることに、特集2のダイバーシティの推進により女性管理職の比率が20%を超えて社内が活性化していく様と「多様性なくして、カルビーの成長なし」の言葉に、企業の先進性を見ることができます。

信頼関係の構築と消費者の学習支援

では、カルビーがこの報告書を作成する目的は何でしょうか? 私は「消費者、取引先、従業員、地域住民、株主など、すべてのステークホルダーと信頼関係を築くことだ」と考えています。信頼関係の先には、この人たちとの共生、協働があります。信頼関係を築くには長い時間が掛かりますが、信頼を失うのは一瞬のことです。信頼関係を維持するには、倫理と道理を行動規範とし、情報を開示して、公正に行動しなければなりません。そして、消費者がカルビーの想いを正しく理解できるようになるためには、消費者への学習支援が必要です。
最後に、安全と品質をテーマとする消費者への学習支援をお願いして、筆を置くことにいたします。感じたままを記しましたが、このような機会を与えていただき、有り難うございました。

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