社長インタビュー2030ビジョンの実現に向けて「社会的価値」と「経済的価値」を両立し、
持続可能な社会に貢献する企業として、
変革と挑戦を続けてまいります

カルビー株式会社
代表取締役社長 兼 CEO  伊藤 秀二

Q. 中期経営計画の状況について教えてください

カルビーグループは、長期ビジョン(2030ビジョン)と中期経営計画(2020年3月期から2024年3月期)の下、変革と挑戦による持続的な成長をすべく事業活動に取り組んでいます。

2030ビジョン,Next Calbee

2022年3月期は、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延から経済活動が徐々に回復する中でサプライチェーンが混乱し、期末にかけては地政学的情勢によりエネルギーや原材料価格が大幅に高騰、さらには原料ばれいしょの収量減にも直面する等、カルビーグループの事業に大きな影響がもたらされ、その対応を行った一年でした。

このような中、中期経営計画を策定してから3年が経過しました。中期経営計画に対する売上高は、海外事業の拡張と甘しょ事業への参入等によりほぼ計画通りに推移しています。一方で、新型コロナウイルスの影響による土産用商品の売り上げ減等にはじまり、原材料等のコストの高騰や天候不良による原料ばれいしょ不足等により、国内利益の回復が遅れています。そして、今後も更なるエネルギーや原材料等の価格高騰リスクが見込まれます。

今後の重点施策として、国内コア事業においては、高騰する原材料価格への対応として製品価格や規格の改定を適切に行い、また新価値・高付加価値製品の拡大を推進します。海外事業においては、北米での収益基盤の強化や中華圏・アセアンでの商品拡充と生産拠点の増強等を進めます。新規事業においては、新たな自然素材を活用した新しい食領域への展開を進めています。2020年に開始した甘しょ事業はこの環境下でも好調に推移しており、カルビーグループのシナジーを最大に活かして、原料調達の拡大、生産設備増強を推進していきます。また、新たな食領域を開拓すべく、生活者の課題解決に踏み込み、初の機能性表示食品「にゅ~みん」(睡眠の質を高め、起床時の疲労感を和らげる可食性フィルム)を発売し、睡眠状態の可視化技術を持つスタートアップのS’UIMIN社へ出資しました。

にゅーみん

社会環境の変化を受けて人々の価値観やライフスタイルは大きく変わり、お客様の課題やニーズも変容しています。変化に対して迅速に、的確に、丁寧に対応し、そのうえで、中期戦略の重点である、海外及び新規事業へ適切な資源を投下し、カルビーグループを再び成長軌道に乗せ、2030ビジョンの実現に向けて挑戦していきます。

Q. サステナブル経営の取り組みについて聞かせてください

カルビーグループは創業当時から、自然の恵みを大切に活かし、おいしさと楽しさを創造する製品づくりで、食の社会課題の解決に取り組んできました。今日においても創業の精神を受け継ぎ、企業活動を通して社会価値を提供し、事業の持続的成長と持続可能な社会の実現を使命と考えています。環境・社会・経済を取り巻く課題に対して、ステークホルダーとともに新たな価値を創造する「サステナブル経営」を実践し、これまでに、温室効果ガス総排出量の削減や、RSPO認証パーム油の使用、環境に配慮した包材への切り替え等に取り組んでいます。

温室効果ガス総排出量の削減

2022年3月期には、カルビーが参画する「清原工業団地スマートエネルギー事業」がその先進的な取り組みを評価され、省エネ大賞最高位の経済産業大臣賞を受賞しました。

省エネ大賞

また全国の工場でも順次再生可能エネルギー電力への切り替えを進めています。気候変動は事業の持続的成長に影響を及ぼす重要課題であると捉え、TCFDフレームワークに基づく開示を行っています。

多様性を尊重した全員活躍の推進

人財はバリューチェーンを支える重要な基盤です。カルビーグループは持続的成長を支えるためのイノベーションの創出を目指し、多様性を活かした全員が活躍する組織を目指しています。

特にこれまで、ダイバーシティ&インクルージョンの最優先課題として従業員の約半数を占める女性の活躍推進に注力してきました。2022年3月には経済産業省・東京証券取引所が共同で女性活躍推進に優れた企業を選出する「なでしこ銘柄」に選定されました。ダイバーシティ&インクルージョンを重要な経営戦略として捉え、積極的な取り組みを実施している点が評価され、2014~2020年に続き、8度目の選定となりました。

また、多様な価値観によるアイデア・イノベーションの創出や、優秀な人財の確保・定着を目指し、2021年12月より承認制の副業制度を導入しました。女性の活躍推進以外にも、障がい者雇用の促進やLGBTQに関する取り組みをはじめ、多様な人財が活躍する支援を進め、従業員全員が自分らしく能力を発揮し、組織や会社での成果を生みだせるダイバーシティ経営を目指しています。


カルビーグループは、2030年に向けた長期ビジョン「Next Calbee 掘りだそう、自然の力。食の未来をつくりだす。」を掲げ、国内コア事業はもとより、海外事業と新たな食領域での成長を目指しています。食を通じた課題解決を図り、さらには社会・環境課題を解決する「社会的価値」と事業成長につながる「経済的価値」を両立することで、持続可能な社会に貢献する企業として、変革と挑戦を続けてまいります。