2023/10/25

島のキーマン・粟島観光協会事務局長に聞いたプロジェクトの効果・展望とは?

過去最高に暑かった夏が過ぎ去り、ようやく秋らしく涼しい日々がやってきました。
10月に入ってからは、粟島の青大豆「一人娘」にもやっと枝豆のサヤが実り、11月の収穫に向けて完熟していくのが楽しみです。

さて、今回はカルビー「miino 粟島一人娘プロジェクト」に関わる人々を紹介するインタビューの第2回目として、プロジェクトにおける粟島側の中心人物・粟島観光協会事務局長の松浦拓也さんにお話を伺いました。

粟島観光協会の事務局長として、普段はどういうお仕事されていますか?

事務局長だからという特別な感じはなく、みんなと一緒に粟島観光協会の仕事をやっています。一人娘の畑の管理は私がメインで担当しているので、その分、他の仕事を観光協会のみんなにやってもらっています。

松浦さんは粟島生まれ、粟島育ち、お仕事も粟島とのことですが、ずっと島にいたくなる魅力を教えてください。

粟島は人と人のつながりが強いので、生き甲斐や自分の役割を見つけられますし、安心感もあるので居心地がいいんです。島全体が大きな家族みたいな感じですね。

「miino 粟島一人娘プロジェクト」での松浦さんの役割を教えてください。

一番は一人娘が順調に育っているかの管理ですね。
二日に一度は畑に通っています。雨が降れば行かないですが、晴れていれば気になってしょうがないですね。

今年の夏は気温が高く晴れの日が続いたので、水不足で枯れてないか、雑草が伸びて蔓が絡んでないか、といろいろ気になっていました。

(取材時の10月上旬は)やっと良い感じにサヤがついて、もう1週間もすれば枝豆で収穫できるぐらいになると思います。

カルビーが粟島へはじめて来島して、一人娘のテスト栽培を始めたのは2021年のことでした。その時はどう思いましたか?

島の人間が主体になることが重要だろうと思いました。なので、自分自身も動かなければという気になりましたね。

私たちも島に何度も通うなかでより理解が深まり、主体的に動いてくださる島の皆さんと一緒に取り組むことの大切さを改めて感じています。3年目を迎えた今、栽培面積も広がってきたなかで苦労することはありますか。

人手が足りないという課題は常にあります。今は栽培のほとんどを手作業で行っていますが、人の手でなくてもいいようなことは機械化できるといいなと思います。

栽培面積が広がったことで良かったことはありますか?

やはりひとりで畑作業をやっていると心細い部分はあります。そんな時、(粟島浦村で活動している)地域おこし協力隊の宮澤さんが協力してくれ、畑に来ていろいろと手伝ってくれるのは心強く感じています(宮澤さんのインタビューは次回の記事でご紹介します)。
あと、粟島全体にもこの取り組みが広がっていて「一人娘ってすごい価値があるんだ!」ということを、多くの人が改めて理解してきていると思います。
これまで一人娘はお年寄りが自家用に作っていただけで、特産品といえばじゃがいもくらいでしたが、今は「特産品は一人娘」という人も出てきてるんじゃないかな。粟島に新たな価値が生まれて良かったと思います。

一人娘の栽培やツアーでは島のおばあさんの存在も大きいですね。

そうですね。おばあさんたちがいないと、おそらく栽培支援ツアーは成立しないです。おばあさんたちは栽培に関しても一人ひとりがこだわりを持っていますし、島の料理や歴史のことも詳しい。粟島の良さがぎゅっと詰まったような存在です。

いま「miino 粟島一人娘プロジェクト」以外で、一人娘を栽培されているのは何軒くらいですか?

去年は7、8軒だったとおもいます。

以前は十数軒と伺っていましたが......。

すごく減っているんです。「ばっけ屋(島のお土産屋)」でも豆を買い取ってお土産品を作っていますが「それも危ないね」と話しています。

生産量を増やすためには、生産者を増やす必要性もありそうです。

実際に栽培している方も、もう80歳前後のおばあちゃんたちなので、1人で作り続けるのは大変です。だけど、みんなでまとまって栽培すれば収穫量を増やしていくことはできるのかなと思っています。いろいろな方から「うちの畑も自由に使っていいよ」と言われているので、今後どうしていくかが課題になると思います。

今年開催された体験ツアーは全3回で北海道から九州まで全国のカルビーファンが来島されています。それとは別に新潟大学の学生も栽培支援に来てくれていますね。

多くの人に粟島に来てもらい、知ってもらうのはありがたいと思いますし、そういった方から粟島の良さが拡散していくのだろうなと思います。これからは来島した人がもっと多くの島の人と深く交流できるようにしたいですね。

「miino 粟島一人娘プロジェクト」に対する期待や展望をお聞かせください。

やっぱり生産量をもっと増やしたいというのが1番です。生産拡大することで、より多くのお客様に気軽に手に取ってもらえるようになるのが望ましいですし、一人娘の栽培が島に新たな仕事を生む可能性もあるんじゃないかと思います。
プロジェクトをきっかけに、粟島に行ってみたい、住んでみたいと思う人が生まれたり、仕事として考えてもらえるぐらいまでいけたらいいですね。
とにかく、島にとってはプラスになることだけなので、可能な限り続けていければと思っています。

最後にこの記事を読んでいただいているカルビーファンの皆さんに一言メッセージをいただけますか。

今回、多くの方がこのプロジェクトを機に、粟島を知り、応援していただいていることをすごくありがたく思っています。なかにはすでに何回もリピートして島に来てくださる方もいらっしゃいます。遠いところから来られている方が多いと思いますが、これからもぜひ、粟島に力を貸してもらえればと思っています。