2025/08/29

【摘芯・草取り体験レポート】島の畑で過ごす夏休み、親子で見守った「一人娘」

2025年7月、粟島にて青大豆「一人娘」の草取り/摘芯体験ツアーが開催されました。2022年から続くツアーの中でも摘芯作業は今回が初めて。リピーターから新たにご応募いただいた方など20名の参加者が集い、2泊3日で行われたツアーの様子を、8度目のツアー参加となる新潟市在住のライター・ヤマシタナツミさんがレポートします。

ライター|ヤマシタナツミ
新潟市生まれ。新潟大学農学部卒。「人と地域の希望をつむぐ」をテーマに取材し物語をかくライター。記事のほか小説など、つたわるかたちを探索しています。

Webサイト https://www.yamashitanatsumi.com

今回、8度目となる粟島行きのツアーに参加しました。
栽培体験ツアーでの草取りの様子はこれまでのレポートでもお伝えしましたので、今回は摘芯作業と新しい粟島の楽しみ方「謎解き散策」の紹介に加え、親子で来島したツアー参加者へのインタビューをお届けします!

>>2024年度までのツアーレポートはこちら(記事一覧)をご覧ください

心がはずむ、島と仲間と出会う旅へ

ツアー1日目の7月24日、集合場所の岩船港周辺は快晴!船内で「一人娘レポートを読みました」と声をかけてくれた方がいて、プロジェクトの輪が広がっていることを実感しました。

到着後は公民館でオリエンテーションと昼食。ツアープログラムの説明に加え、粟島浦村の特徴や観光の見どころ、「一人娘」プロジェクトの歩みが紹介されました。

自己紹介では、新潟県、群馬県、埼玉県、東京都、神奈川県、愛知県、三重県、兵庫県の8地域から来てくれたツアー参加者が、それぞれの想いを語ってくれました。


【初めて参加した方】

「非日常を求めて来ました。船に乗って島に渡るのも、畑作業ができるのも楽しみです」

「自分が農作業に参加して商品になる企画が好きで、親子で参加しました」

「粟島の存在は知っていたものの来たことがなく、来るきっかけをいただきました」

【リピーターさん】

「参加したらすごく楽しかったので、家族を誘って参加しました」

「収穫した豆が商品になり、嬉しくなりました。農作業で貢献したいと思っています。」

※ツアー参加者のお声を抜粋して掲載しています

昼食後は島のお母さんたちの手ほどきを受けながら、名物・油味噌をつくります。油味噌づくりの詳しい内容は、2023年の記事【草取り・土寄せ体験レポート】粟島「一人娘」との出会いで見つけた、人と畑の多様性2024年の記事【草取り体験レポート】「一人娘」の魅力が掘り出され、応援の輪が広がっていくをご覧ください。

濃厚な油味噌は島で採れた新鮮なキュウリと合わせると、ついつい手が出るおいしさ。鍋に残った味噌も、みんなで残さずいただきました。

油味噌づくりで1日目のプログラムが終了。ツアー参加者はそれぞれ、宿泊する民宿に向かいました。

私が今回泊まったのは集落の中ほどにある「民宿与平」。この日の夕食は、カンパチ刺身、タイの塩焼き、キジハタ煮付け、サツキダコの酢の物。カンパチのアラ入り味噌汁など。翌日の作業に備えて、エネルギーを補給することができました!

摘芯・草取りで「一人娘」の成長を応援!

ツアー2日目の7月25日、7時頃に民宿を出発して集合場所の「ばっけ屋」に向かいました。

海側を歩くと、定置網漁で使う網の手入れをする人たちの姿が。少しお話を伺うと、網の手入れにはかなり時間がかかるとのこと。さまざまな仕事のおかげで、おいしい食事をいただけるのですね。

日差しが強く、最高気温が30度を超える予報があり、日よけ・熱中症対策をしてからバスに乗り込みました。畑に着くと「一人娘」の姿が!水不足の心配もありましたが、無事発芽して育っていました。

作業前に集合写真を撮影し、初めての作業となる「摘芯」の説明を受けました。下のイラストのように生長点を切除する摘芯を行うと、上に伸びすぎることがなくなり、倒れにくくなるそうです。

レクチャー後ははさみを持って畑へ。摘芯をした畑・しない畑で、育ち具合を比較するそうで、一部の畑だけ摘芯しました。

はじめは「ここを切れば良いのかな?」と恐る恐る作業していたツアー参加者のみなさん。慣れてくるとそれぞれが黙々と摘芯を行なっていました。

摘芯を終えた後は草取りです。作業前・作業後の写真を比べると、畑が整ったことがよくわかります!

体調不良になる人もなく無事作業完了。みなさん、暑い中、本当にお疲れ様でした!

「謎解き散策」でめぐる粟島・内浦スポット

休憩をはさみ、自由行動の時間に。6月に行われた前回のツアーでは島を一周したので、今回は粟島港の近くを散策することにしました。今回は平坦な道が多いので、アシストなしの自転車をレンタル。

散策で使ったのは粟島観光協会で販売している「謎解き散策」内浦版。最後まで解くとオリジナルグッズをもらえます。レポートでは答えを明かさないように、訪れたスポットの一部をご紹介します!

散策の途中でツアー参加者さんとばったり。郵便局で買った新潟限定品を見せてもらいました。旅の楽しみ方は十人十色。みなさんとの交流から、毎回発見があります。

粟島港に近い旗崎海水浴場付近のゴロタ浜にも行ってみました。

こちらは昔から親しまれてきた「穴釣り」にぴったりのスポット。透明度の高い海を眺めているだけでも癒されますが、気になる方はぜひ挑戦してみてください!

手間暇かけた料理とじゃんけん大会、笑顔ひろがる交流会

毎回楽しみにしている交流会。早めに行って、食事の準備から見学させてもらうことにしました。山盛りの食材が、島のお母さんたちの手でおいしそうな料理に変身!

ビュッフェスタイルで料理を盛り付けたら、乾杯!交流会のスタートです。

今回も「グッズ争奪じゃんけん大会」を開催しました。miinoブランドマネジャー 塩﨑さんのかけ声で、じゃんけんを続けること10回戦!ツアー参加者、島のみなさん、カルビーの社員さんたちのにぎやかな声が最後まで響いていました。

交流会の帰り道、見上げると満天の星。何気なくスマートフォンで撮影してみたところ、星を撮ることができました。眺めていると心が落ち着く、美しい星空でした。

名残惜しい気持ちを乗せて、帰路につく

ツアー3日目の7月26日、民宿の朝食をいただきながらツアー参加者さんたちとおしゃべりをすると「朝日を見てきたんです」とのこと。見せていただいた写真がとてもすてきだったので、こちらでもご紹介します。幻想的できれいですね!

廣島寛子さん撮影「朝日」

廣島寛子さん撮影「朝焼け」

その後、出港まで少し時間があったので、同じ宿のツアー参加者さんたちと一緒に「あわしま牧場」へ。「ひき馬体験」は乗馬経験のない方でも楽しめます。海の見える牧場で馬に乗るのはとても気持ちよく、いい思い出になりました。

フェリーの出港に合わせて、島のみなさんが大漁旗と「粟島」の旗を持って見送りにきてくれました。私たちも、たくさんのおもてなしに感謝しながら、大きく手を振って別れの挨拶。また来られますように、という想いも込めて。

親子参加の2組が語る、ツアーと粟島の魅力

中学生の親子、小野さんファミリーと五十嵐さんファミリーにインタビューをすることができました!

ここからはQ&A形式で2組の思いを紹介します。



【群馬県在住の小野さんファミリー】

Q.ツアーに応募した理由や、来る前に思っていたことを教えてください

(お母さん)
粟島には何度も来ていましたが「一人娘」の畑には行ったことがなく、気になっていました。自宅にも畑がありナスやトマトを植えていますが、ほとんど放ったらかし。草取りはほとんどやったことがありませんでした。

(お子さん)
何度か粟島には来て、海に入ったり、自転車で釜谷まで行ったりしていて、あとは畑だけという感じでした。家で野菜を植えるのを手伝ったことがありますし、小学校で田植えをしたことがありましたが、草取りはやったことがなかったと思います。

(お父さん)
2024年11月のツアーがすごく楽しかったので、妻と子どもに声をかけて応募しました。ツアー参加は2回目ですが、粟島にはコロナ禍を除いてほぼ毎年、10年以上前から10回以上来ていると思います。粟島に来るのは馴染みの場所に帰るような感覚かもしれません。

Q.参加した感想を教えてください

(お母さん)
粟島では手作業で草取りをしていて、手間がかかるんだな、と思いました。畑での作業は暑くて過酷でしたが、過酷だったからこそ自信になりました。帰ったら、家の畑でも草取りをしてみようと思っています。

(お子さん)
畑は思っていたよりも広くて、ジャングルみたいでした。草取りでは、雑草と間違えて「一人娘」を取ってしまわないように注意深く見るのが大変でした。摘芯をすると、よく育つんだと知ることができてよかったです。

(お父さん)
農作業しながらカルビーの社員さんともお話して、すごくリフレッシュできました。草取りは畑がきれいになり、達成感がありましたね。ここまで手をかけたので、今年の豆の出来上がりを見届けたいと思います。また応募します!



【東京都在住の五十嵐さんファミリー】

Q.ツアーに応募した理由や、来る前に思っていたことを教えてください

(お子さん)
お母さんから誘われて「楽しそうだな」と思って来ました。粟島がどんなところかは知らなかったのですが、農作業は何度もやったことがあったので、できそうかなと思いました。

(お母さん)
応募はアプリがきっかけです。他のイベントは「遠くて無理かな」と応募していなかったのですが「新潟ならそんなに遠くないし、日程も夏休みだから行けるかな」と。粟島のことは全然知らなかったのですが、応募することにしました。

もともと食べ物をつくる過程を見るのが好きで、農業系のボランティアには何度か参加してきました。観光地ではないところで、その土地でしかできないことができるのが好きなのかもしれません。

Q.参加した感想を教えてください

(お子さん)
作業は暑かったし、広い畑だったので結構疲れました。でも草取りや摘芯はあまりやったことがない作業で、いい経験になったと思います。他に印象に残っているのは海です。沖に行けば行くほど魚がたくさんいて、きれいで、楽しくて。2時間くらい潜ったり、泳いだりしていたと思います。

(お母さん)
畑作業が楽しかったです!雑草がなくなって、きれいになった畑を見たとき、達成感がありました。他のツアー参加者の方や島の人、カルビーさんとの交流もできたと思います。小野さんファミリーとは、一緒に海に入ったのですが、親子2人で遊ぶのとはまた違った経験になったと思います。子どもも楽しそうでした。このまま「一人娘」プロジェクトがどんどん発展してくれるといいなと思っています。また参加したいです!




家族で来島したツアー参加者のみなさん、一人ひとりの言葉から、粟島と「一人娘」の畑、ツアーの楽しさを教えてもらいました。

次回11月に予定しているツアーでは、いよいよ収穫を行います。みんなで手をかけてきた「一人娘」が無事に実ってくれますように。

2025年の成果を一緒に見届けたい、という方はぜひ、ツアーにご応募ください。お待ちしています!