地ものがたり
#07
新潟県粟島-収穫体験レポート-
「一人娘」の収穫体験はもちろん、
粟島名物のわっぱ煮、イモダコ、しょがら、
そして味噌づくり体験まで。
島ファンとカルビーファンで紡いだ、
粟島「一人娘」物語
日本海に浮かぶ粟粒のように小さな島、粟島(あわしま|新潟県粟島浦村)では、食味がよく、希少な青大豆「一人娘」が代々受け継がれてきました。しかし「一人娘」の生産者は年々減少。このままでは生産を続けられなくなるかもしれないと、未来が危ぶまれる状況にありました。
そんなある日、カルビーの社員が「一人娘」と出会い、そのおいしさに感動。「miinoブランドで商品化したい!」と考えたことをきっかけに、粟島での一大チャレンジがスタートしました。
島の人々と共に、耕作放棄地を開梱し、春にタネを蒔き、夏には草取りや土寄せを行うカルビーの社員たち。そして愛情たっぷりに育てられた「一人娘」の収穫をきっかけに、「一人娘」の未来をともに紡ぐ仲間づくりを行うべく、島ファンとカルビーファンを粟島に招く収穫ツアーを企画。
100件を超える応募から選ばれた20代から60代まで21名のファンのみなさんと共に行われた収穫ツアーの様子を、レポートします。
DAY1
粟島到着!miino「一人娘」物語の一員に。 11月4日、2泊3日の粟島「一人娘」の収穫ツアーがスタートしました。まずは集合場所の岩船港から約90分の船旅です。この日はちょっと波が高かったものの船は無事に粟島港へ到着。一足先に粟島に来ていたみなさんに迎えてもらいました。
島に到着すると、公民館でウェルカム式典とオリエンテーションが行われました。参加者にはmiinoのTシャツが配られ、わくわくする気持ちが膨らみます。
式典では粟島浦村の脇川善行村長が「カルビーといえばmiino、miinoといえば一人娘、一人娘といえば粟島浦村と思っていただけるようになれば」と挨拶。このツアーを粟島のみなさんが歓迎してくださっているんだなと感じました。
式典が終わると時刻はちょうどお昼時。お昼ごはんに粟島名物の「わっぱ煮」を体験しました。お湯の入った木の器「わっぱ」に入っているのは、焼いたメバルとカワハギ、味噌玉。そこに熱々の石を投入していきます。石を入れた瞬間からぶわーっと泡が出てきて、そこにネギを入れると、なんとも食欲をそそる良い香りが!
屋外にあるわっぱ煮会場でいただいた「わっぱ煮」は、熱々の石のおかげでいつまでも温かく、冷えた身体に沁みわたりました。
「一人娘」と、知る人ぞ知る粟島グルメに出会う。 公民館に戻ると、いよいよ「一人娘」との対面です。 まずは茹でた「一人娘」をいただきます。自然な甘みとうま味、大豆ならではの香りが濃くて、味付けしていないのに食べ応えは十分。
そして「島のばぁば」として親しまれているお母さんたちからレクチャーを受けながら、参加者みんなで味噌づくりが始まりました。
ここで使う道具は昔ながらの「味噌切機」。茹でた「一人娘」がミンチ状になり、豆の甘い香りがふんわりと漂います。「モンブランみたい!」という声が上がっていましたが、本当にそっくり。
モンブラン状になった「一人娘」に塩とこうじ、それから豆の煮汁を少々入れて、よく混ぜ合わせたら熟成用の樽に詰めていきます。「味噌づくりは初めて」という参加者の面々は、作業するうちに交流が深まり、息の合った連携プレーも見られました。
味噌は1年間寝かせたあと、参加者のご自宅に届けてくださるとのこと。特製「一人娘」味噌はどんな味になるでしょうか。完成が待ち遠しいです。
夕食には、ばぁばたちお手製の料理をいただきました!お米以外の食材はすべて粟島のもので、知る人ぞ知る島の秋冬グルメ「イモダコ」と「しょがら」も。「しょがら」は魚をぬか漬けにしたもので、お酒やご飯がどんどんすすみます!
夕食はツアー1日目を振り返りながらの楽しい時間となり、島の方々と参加者、カルビーの社員たちの距離がぐっと縮まりました。明日はいよいよ「一人娘」の収穫。翌朝に備えて各自、民宿で休みます。
DAY2
いよいよ収穫!そして「はざがけ」。 11月5日、粟島「一人娘」収穫ツアー2日目は畑での収穫作業です。「一人娘」と出会ってちょうど2年。ついにやってきた収穫の日に、これだけ多くの方が集まりました。
この日はまだ時期が早く、収穫できる豆が限られていたので、島の方から見分け方を教わり、ひと束ひと束確認しながら茶色くなったものを収穫してきます。作業の合間には「一人娘」でつくる「呉汁」「煎り豆」「づんだアイス」など、島の方に愛されてきた「一人娘」のお話を聞くことができました。
枝つきのものは、豆が乾燥しやすいように、不要な葉っぱや枝を落としていきます。そうして整えた枝を束にし、まるけて(方言で「まとめて」の意味)いきました。
枝ごと収穫できたものだけでなく、枝から落ちてしまった豆も丁寧に拾って集めます。
それから各自、まるけた枝を持って畑から学校に移動。校舎の軒下に組まれたやぐらで「はざがけ」をしました。写真で「はざがけ」をしているのは粟島で行われている離島留学「しおかぜ留学」の留学生。今年の「一人娘」栽培には種まきから参加しているそうで、「一人娘」のことや島の学校のこと、島暮らしのことを教えてもらいました。
「はざがけ」の後は豆の乾燥が終わった後に行う「たたき」の実演を見学。タンタンタンと木の棒で乾燥した枝を叩くと、さやから豆が飛び出してきました。「落ちたかなと思ったら、振ってみる。それでカランカランと音がするならまだ豆が入ってんだ」と島のばぁばは語ります。最後の一粒まで取り出せるように、叩いては振り、振っては叩き、音がしなくなるまで繰り返すそうです。
手のひらに乗っている豆が、右側にいくほど小さくなっているのは乾燥が進んでいるから。スナック菓子をつくるにはしっかりと乾燥させないといけないので、青みの強い水分の多い豆はさらに乾燥させていきます。
ちなみに豆をとった後に残る枝は、春まで畑に積んでおいて堆肥にするそう。無駄になるものがなく、循環し続ける農業のあり方はとても美しいですね。
「はざがけ」を終えたらもう一度集合写真を撮影。作業を終えた充実感でみなさんの顔がほころんでいました。
このときに生まれた「miinoポーズ」。
収穫した「一人娘」を親指と人差し指で持ち、OKサインをつくって「ハイ、miino」のかけ声で撮影しました。
「一人娘」miinoを試食し、未来についてディスカッション。 収穫後はツアー最後のプログラム・ディスカッションが行われました。一人娘の未来を語り合うディスカッションでは、「ボランティアでいいからまた来たい!」という参加者の声も。粟島で過ごした時間のなか島と「一人娘」の魅力にすっかり惹かれてしまった様子でした。
議論が深まるなか「農業系の学校に通う学生さんや、将来地域づくりに関わりたい若い人に参加してもらえると、継続的に関わってもらえそうでは?」という意見や、「種まきや草取り、収穫には体力が必要だから…例えばマラソンやトレイルランニングの大会を開いて、体力のある人たちに粟島に来てもらうのはどうかな?」など具体的なアイデアも出てきました。
「ここが良かった」「もっとこうだったら良かったな」など、参加者の声を書き出した付箋で気づけばホワイトボードはいっぱいに! 書ききれなかった想いを語り合う人もいました。
ディスカッションで語られた参加者の声の一部をご紹介します。
【粟島について】
「粟島が好きで今年は3回ほど来ていますが、今回で違った一面を見ることができました」
「島でばぁばと触れ合ったり、おいしいご飯をいただいて、とても豊かな気持ちになりました」
「粟島には何もないよと言われて来たけれど、できること、やりたいことが、何でもあると思いました」
「島の方同士、お互いがどこの誰かわかっている、深いつながりがあることに驚きました」
「紅葉が見られたり、夏に来たときとは印象が変わって、貴重な経験ができました」
【体験について】
「収穫に興味を持って参加しましたが、全部の工程が楽しくて、また来たいと思いました」
「学校で働いているのですが、子どもたちにもここでの体験を伝えていきたいです」
「もともと豆は苦手でしたが、今回の体験でおいしい豆があると知り、大好きになりました」
「種をまいて、草をとって、収穫して、その先に普段食べているお菓子があることを実感しました」
「農作業は重労働でしたが、その分大切に食べようと思いました」
【カルビー、miinoについて】
「近いようで遠い存在と思っていたカルビーさんを、体験を通じて身近に感じられるようになりました」
「一人娘miinoは、本当の素材の良さや大切さを伝えられる、いい商品になりそうだと思っています」
「カルビーさんが豆に力を入れているとわかったので、応援していきたいです」
「商品の影に努力があって、社員の方の熱い想いがあると知り、買うときの印象が変わりました」
参加者の声を受け取ったカルビーの社員からは「こんなに粟島や一人娘、そしてmiinoのことを思ってくださるとは!」と感激の声が聞こえてきました。
熱い想いが込められた粟島「一人娘」のmiinoは一体、どんな味になるのでしょう?
そう思っていたら、カルビーからのサプライズで昨年収穫した一人娘を使ったmiinoの試作品が登場しました。
参加者みんなで塩加減を変えた2パターンを試食し、どちらか好きな方を選びます。一同、真剣な眼差しで「一人娘miino」を味わっていました。
結果は片方のmiinoに票が集まり、カルビーの社員からは「参考にします!」という言葉が。来年春に商品化されるという「一人娘miino」がどんな味になるか、今から楽しみです!
あくる日、11月6日は粟島「一人娘」収穫ツアーの最終日。朝8時の船に乗る私たちを、粟島で出会ったみなさんが大漁旗を持って見送りに来てくださいました。ツアー参加者も名残惜しそうに船から大きく手を振ります。
粟島の人たちとの心温まる交流や、「一人娘」の収穫と未来について語り合った体験は、参加者のみなさんの胸にさまざまな感動を生み出したようす。そんな私も粟島「一人娘」物語をつむいだひとり。これからも粟島や「一人娘」、miinoのことをみんなで応援していきたいです。
2022年11月
商品担当者より
カルビー株式会社 藤東 亮輔