2026/07/17

【種まき体験レポート】みんなの想いを土に託す「一人娘」5年目の挑戦

2026年6月、粟島にて青大豆「一人娘」の栽培体験(播種)ツアーが開催されました。リピーターから新たにご応募いただいた方など13名の参加者が集い、2泊3日で行われたツアーの様子を、10回目のツアー参加となる新潟市在住のライター・ヤマシタナツミさんがレポートします。

ライター|ヤマシタナツミ
新潟市生まれ。新潟大学農学部卒。「人と地域の希望をつむぐ」をテーマに物語をかくインタビュアー兼取材ライター。記事のほか小説など、つたわるかたちを探索しています。

Webサイト https://www.yamashitanatsumi.com

10回目となる粟島行きのツアーに参加しました。播種ツアーのプログラムはこれまでのレポートでもお伝えしましたので、今回は説明を控えめにして写真をたっぷりとお届けします。また後半では「一人娘」栽培に関する新情報やツアー参加者からの声をご紹介します。

>>2025年度までのツアーレポートはこちら(記事一覧)をご覧ください




目次

● 写真でふりかえる2026年種まきツアー
● 「一人娘」栽培ニュース2026
● 「実際どうだった?」ツアー参加者の声



写真でふりかえる2026年種まきツアー

ツアー1日目、6月5日の印象的なシーンをお届けします。

<粟島港到着>
青い海と空、大漁旗が私たちを迎えてくれました。

<オリエンテーション>
歓迎あいさつを脇川善行村長から、粟島の地理・歴史・文化・観光を粟島観光協会の事務局長代理・本保貴子さんから、ツアーオープニングをカルビーの伊部彩人さんからお話しいただきました。

オリエンテーションでは自己紹介を実施。今回は、北海道、福島県、埼玉県、東京都、神奈川県、新潟県、大阪府の7地域からツアーにご参加いただきました!

【初めて参加した方】

「じゃがいも掘りが楽しかったので、他のプログラムにも参加したいと応募しました」
「新潟に来たのも初めてです。楽しみたいと思います」
「高校の友人からの勧めで参加しました」

【リピーターさん】

「地方の未来や農業に興味があり、少しでも役に立てればと思って参加しました」
「7月、6月、11月のツアーコンプリートを目指しています」
「前回粟島の海を満喫したので、他の魅力も楽しみたいと思います」

※ツアー参加者のお声を抜粋して掲載しています


<一口饅頭づくり>
島のお母さんより実演いただいた後、全員で饅頭づくり。緊張がほぐれてきて、ツアー参加者のみなさんの笑顔が見えました。

<畑への移動>
続いてツアー2日目、6月6日は直売所ばっけ屋前に集合してマイクロバスで畑に向かい、作業を教えてくださる島のみなさんと一緒に記念撮影をしました!

<播種作業>
粟島観光協会の佐藤恵利果さんより作業方法を教えていただいた後、全員で播種作業へ。早めに終わったため、石拾いや草取りも行いました。

<自由行動>
農作業の後は自由行動へ。私は直売所ばっけ屋で購入できる「粟島流・穴釣りセット」を持って旗崎海水浴場付近のゴロタ浜へ。初めての「穴釣り」に挑戦しました!

写真ではオキアミを餌にしていますが、粟島流のおすすめはヤドカリやイシダタミ貝。浜でつかまえてから石で殻をたたき割り、中身を針につけ、岩と岩の間などに糸をたらします。うまくいくと糸をたらしてすぐに釣れることもあるとか。

今回は残念ながら収穫なしでしたが、ツアー参加者さんと一緒に、海の遊びを楽しめて、いい時間になりました!

※穴釣り含め、釣りを行う際は、ライフジャケットやマリンシューズなどを着用して安全にお楽しみください

ツアー参加者のみなさんは他にも、島一周サイクリングや散策を楽しんだようす。

粟島で楽しめる観光情報は、 2025年の記事【種まき体験レポート】島・人とのつながりから、生まれた希望をつなぐ旅や【摘芯・草取り体験レポート】島の畑で過ごす夏休み、親子で見守った「一人娘」でも紹介していますので、ぜひご覧ください。

<お豆腐づくり実演>
自由行動の後、神奈川県湯河原市にある、とうふ・生ゆば専門店の「湯河原 十二庵」の浅沼さんによる、粟島産「一人娘」を使った豆腐づくりの実演が開催されました。

できたてのお豆腐はとろけるような口あたりで、とても濃厚。「一人娘」のおいしさをあらためて実感しました。

浅沼さんの詳しい紹介は、2025年の記事【収穫体験レポート】ファンからファンへ受け継がれてひろがる「一人娘」の可能性をご覧ください。

<食事会兼交流会>
そしてお待ちかねの食事会兼交流会。

食事を楽しみ、恒例となった「グッズ争奪じゃんけん大会」で盛り上がり……ツアープログラムを締めくくる、賑やかな時間となりました!

充実した時間はあっという間に過ぎて、最終日には粟島港で「ありがとう」「楽しかったよ」と別れを惜しむ姿がありました。

ツアー参加者も、島のみなさんも、フェリーが島から遠く離れても、見えなくなるまで手を振っていました。

粟島の皆さん、今回も本当にありがとうございました!

「一人娘」栽培ニュース2026

<一部農薬の使用を決断>
2025年度に栽培した「一人娘」は残念ながら規格外が多くなってしまいました。その主な原因は記録的な猛暑や干ばつ、「紫斑病(しはんびょう)」などの病害虫被害。

その経験を糧に、2026年度はネキリムシ対策の農薬、紫斑病対策の種子消毒用農薬を使用することになりました。

いずれも人への危険性が低いものを選定し、種子消毒はリスクの高い種子のみに行うなど必要最小限に留めています。写真はネキリムシ※対策の農薬をまいているところです。

※ネキリムシとは食害を起こすガなどの幼虫の総称で、大豆などの農作物に深刻な被害をもたらします

<長野県での生産に学ぶ>
長野県産「一人娘」の生産者とお付き合いのある「湯河原十二庵」の浅沼さんに、長野県での生産状況や栽培の工夫についてお話を伺ってみました。

浅沼さん「粟島と長野は地続きではなく、規模や播種の条件も違いますが……長野でも2025年、2024年の生産状況が良くありませんでした。

そうした状況もあってか、播種前、土づくりの段階からいろいろな工夫が行われています。例えば、大豆と同様に根粒菌のつく植物を先に育てて土にすき込むとか、土を深めに掘って表面の土と深い層の土を入れ替える「天地返し」を行うとか。

粟島でも、土壌の検査結果をもとに不足する養分を補うなど工夫していると聞きました。圃場を見た印象としては、この後雨が降ってくれれば大丈夫なんじゃないかなと思っています」

「実際どうだった?」ツアー参加者の声

今回で粟島「一人娘」ツアーの参加者数は延べ170人に。今回参加された3組にツアーの思い出を振り返っていただきました。


【大阪府在住のあーきちさん(妹)・ゆーきちさん(姉)】

Q.応募のきっかけと粟島の印象を教えてください

(あーきちさん)
前回(2025年7月)のツアーが楽しかったからです。姉は暑がりやから夏はあかんな、と思って種まきに応募しました。集合場所でカルビーの社員さんたちが話しかけてきてくれたときは「覚えててくれたんや」と思ったし、粟島に着いたときは「来たー!よっしゃ、頑張ろう」みたいな感じでした(笑)。

(ゆーきちさん)
前回参加するつもりが間際で行けなくなったので、今回はリベンジです(笑)。滋賀県の竹生島に行ったことがあったので、粟島に着いたときは「久しぶりに島に来たな」と思いました。粟島行きのフェリーは思っていたより大きくて、きれいで、びっくりしました。

Q.畑や播種作業はいかがでしたか

(ゆーきちさん)
畝(うね)ってこんなに高いんや、と思ったし、長靴で畑に入っていくとき、ふかふかで。「こんなけ準備をしてくれてんねんな、大変やったやろうな」と思いました。

(あーきちさん)
前回の草ひきは「きれいになったやん」ていう達成感があって、めっちゃ楽しかったんです。種まきはあっという間で、正直ちょっと物足りない感じ……かわいらしい感じで終わりました(笑)

Q.人との交流で印象に残ったことはありますか

(ゆーきちさん)
学校の前で道路を渡る子が、手を上げてた(※)のが一番の衝撃でした。車も来てない、誰も見てないのにずっと手を上げてて。「なんて素直なんやろう、島を出てからもこの子が苦労しませんように」と思いました。

(あーきちさん)
島の人は本当に純朴で、こっちが何やっても「いいよいいよ」って許してくれるような感じで。宿のお母さんも、島のばあばも、粟島観光協会の本保さんも、めちゃめちゃにこにこして、いい人たちばかりだと思いました。

※粟島は交通量が少なく、信号機は学校前にある「教育用」の1台のみで、そこで子どもたちが道路を渡る練習をしています

Q.ツアー全体を通して感じたことはありますか

(ゆーきちさん)
村長さんの意気込みには感動したけど、島の人を増やすのは簡単じゃないやろうな、と。粟島がいい形で続いていけばいいなと思いました。

(あーきちさん)
カルビーさんのこの取り組みは、ほんまにすごいと思う。私たちも課金してる(※)けど「それ以上のものを出そう」と準備してくれていて。前回以上にパワーアップしていました。もらったTシャツを大阪のジムでも着続けて、このプロジェクトを伝えていこうと思います(笑)

※粟島島内でのツアーイベントは無料ですが、粟島までの交通費と宿泊費、飲食費はツアー参加者にご負担いただいています


【北海道在住の畠山さんファミリー】

Q.応募のきっかけと粟島の印象を教えてください

(お母さん)
2025年秋に参加したカルビーのじゃがいも掘り体験が楽しかったので、他のも参加したいなと思っていたら「一人娘」ツアーを見つけました。こんな機会でもないと粟島に行って大豆をまくこともないだろう、これはチャンスだと思ったんです。フェリーが粟島に着くとき、旗を振っている人たちが見えて「歓迎してくれてる」とちょっと感動しました。

(お嬢さん)
ちょうど旅行に行きたいな、と思っていたら母から誘いがあって、船に乗れるの良いなと思って「行くよ」と答えました。島で印象に残ったのは北海道では見たことのない瓦屋根ですね。

Q.畑や播種作業はいかがでしたか

(お母さん)
畑を見て、準備が本当に大変だっただろうなと思いました。2025年は不作だったというから「病気にならないように、がんばって成長してね」という想いを込めて、育つ姿を想像しながら作業しました。

(お嬢さん)
畑でずっとかがんでいたのが大変で。翌朝、起きたときには筋肉痛になってました。

Q.人との交流で印象に残ったことはありますか

(お母さん)
交流会でお料理を作ってくださった、ちずこさんです。来たからには楽しんでもらおうとか、自分ができることを精一杯やろうと思っているのが伝わってきて、すごく嬉しくなりました。カルビーの社員さんも頑張って盛り上げてくれて、熱烈歓迎!という感じでしたし、いろいろなところから来たツアー参加者と交流できておもしろかったです。

(お嬢さん)
大阪からの参加者の方が「ザ・大阪のおばちゃん」という感じで印象に残っているのと、フェリーの到着・出発時に旗を振ってもらったのが初めてで、ありがたいなと思いました。

Q.ツアー全体を通して感じたことはありますか

(お母さん)
浅沼さんに作ってもらったお豆腐は、そのままでも自然の甘みでうまい!と思いました。作るところも見せてもらって楽しかったです。移動の大変さから、もう一度来るのは難しいかなという気持ちもありますが……楽しいツアーだと思うので、今後も続けてもらえたらと思います。

(お嬢さん)
カルビーの社員さんはお堅いのかなと思っていたんですけど、すごく優しいし、畑の開墾も社員の方が関わっていると聞いて、すごいなと思いました。商品だけじゃなく、その後ろにいる島の人たちのことも考えているんだ、いい会社だなと思いました。


【大阪府在住の西野さん】

Q.応募のきっかけと粟島の印象を教えてください

(西野さん)
実は、初回ツアーに当選していたのですが行けなくなって、ずっと気になっていたので今回申し込んだんです。来てみたらリピーターの方が多くて、始めは馴染めるか少し不安になりましたが、いろいろ教えてもらって助かりました。それに島のみなさんが温かく迎えてくださったので、ほっこりとしましたね。

Q.畑や播種作業はいかがでしたか

(西野さん)
黙々とやるのが好きなので楽しかったです。ちゃんと芽を出してほしい、おいしく育ってほしいと思いながら、植えていました。

Q.人との交流で印象に残ったことはありますか

(西野さん)
自由時間に牧場を見に行こうと一人で歩いたとき、スタッフの方が一緒に牧場まで行ってくださって、世間話や馬の話をしました。それから粟島に移住した方から島の暮らしぶりを聞いたのもすごく印象に残っています。他にはツアー参加者6人で、電動自転車で島一周しました。道を間違えたのもいい思い出です(笑)

Q.ツアー全体を通して感じたことはありますか

(西野さん)
来る前は「なんでリピーターの方は何回も来るんかなあ」と思ってたんですけど、自分が体験してわかりました。島が良いとか、カルビーさんのイベントが良いとか、全部が一体なんです。自分が植えた大豆がどうなっていくかも気になりますし、島のみなさんにはあったかみがあるし、島を去るのが寂しかったです。みなさんが何度も来る理由がわかりました。






一人ひとりが感じた粟島らしさ、ツアーのおもしろさを知り、粟島「一人娘」ツアーのパワーアップを感じたインタビューでした。

ツアーから一週間、粟島観光協会より土から顔を出した「一人娘」の写真が送られてきました。かわいらしいですね!

5年目の「一人娘」栽培が実りにつながるよう、これからもみんなで見守っていきましょう。2026年もよろしくお願いします!

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