地ものがたり
#14

集合写真

新潟県粟島-種まき体験レポート-

「一人娘」の播種作業支援ツアーを開催。
新潟名物・笹団子づくりや粟島グルメも
味わいました。

人と畑が「好き」でつながる、
粟島「一人娘」の縁むすび

2023年6月、粟島で「一人娘」の播種作業支援ツアーを開催しました。 一般からの参加は、昨年行われた収穫ツアーに参加いただいた方や、新たにご応募いただいた方々など14名。2泊3日で行われたツアーの様子を、昨年のツアーにも参加した新潟市在住のライター・ヤマシタナツミさんがレポートします。

DAY1

「さまざまな好き」を胸に、粟島に集った仲間たち。 6月9日、2度目となる粟島行きのツアーに参加しました。岩船港に着くと、前回のツアーでご一緒したカルビーの社員さん、観光協会のスタッフさんなど、顔なじみの方がたくさん。みなさんと再会して、一緒に粟島に行けることがとても心強く、リラックスしてスタートを切ることができました。

おだやかな船旅を終えて粟島に到着し、オリエンテーション会場となる粟島の公民館に向かうと、昨年収穫した「一人娘」を使った「miino一人娘」が!ツアー前にカルビーマルシェのオンラインショップでも購入していたのですが、粟島に来てあらためて手に取ると「みんなの想いが形になったんだ」という実感が湧いてきました。

粟島到着
miino一人娘

オリエンテーションがはじまり、まずは粟島浦村の脇川村長が歓迎のご挨拶。「参加者のみなさんやカルビーさんと一緒に、粟島で『一人娘』を守り育てていけたら」という言葉から、このツアーへの期待感が伝わってきます。

続いてプロジェクトの発起人・カルビーの藤東さんからは、「さまざまな人の力で『一人娘』の課題を解決していけたら」というお話がありました。

藤東さんはカルビーに入社したばかりの頃、契約農家のじゃがいも畑で約1ヵ月半の農業研修を経験。そのとき「畑には色々なものを生み出す力がある」と、感じたのだとか。その経験から「畑に人が集まることでアイデアが生まれるのでは」と思い、今回のような農業支援ツアーをやってみようと考えたそうです。

「カルビーのことが好きな人だけでなく、粟島や農業など、『さまざまな好き』を持っている人たちに畑に集まってもらうことで、持続可能な「一人娘」の栽培が実現すると思っています」と藤東さん。そのお話を聞いて、参加者の一人として何か力になれたらいいな、と思いました。

オリエンテーション1
オリエンテーション2

オリエンテーションでは全員の自己紹介も。 ボランティアが好きな人、農業に興味がある人、カルビーのお菓子が好きな人。それから、お子さんが粟島の中学校に離島留学している人、職場でこのツアーをおすすめしてもらった人、「前回楽しかったからまた応募しました」という人。一人ひとりが持っている「好き」を知ることができ、これからのプログラムがより楽しみになりました。

はじめての共同作業は新潟名物・笹団子づくり。 オリエンテーションを終えてお昼休憩をとった後、新潟名物・笹団子づくりを体験しました。まずは「島のばぁば」として慕われているお母さんたちから、つくり方を見せてもらいます。それから私たち参加者も、団子生地とあんこをくるくると丸めたり、丸めた団子生地であんこの玉を包んだり、見よう見まねで手を動かしていきました。

笹団子をこねる
笹団子を丸める

クライマックスは、笹の葉と団子ひもを使って笹団子独特の形に包むところ。島のばぁばが「ここをこうして、くるっとまわして…」と説明しながら見せてくれるのですが、これがなかなかむずかしいのです。それでもばぁばの手を借りたり、参加者同士で教えあったりして、全部で100個ほどの笹団子ができました。

団子ひも
笹団子

笹団子が蒸しあがるのを待つ間は、カルビーmiinoのブランドマネジャーと商品開発担当者、参加者とで質問タイム。「miinoという名前はどういう意味ですか?」「原料の産地が海外の場合も視察に行きますか?」「miinoはどんなときに食べますか?」など、お互いに質問したり答えたりするうちに、どんどん和やかなムードになっていきました。

そうしているうちに笹団子が完成!

「蒸し」「ゆで」の2種類をみんなで食べくらべてみました。「ゆでた笹団子は初めて」という方がほとんど。「蒸しの方が香りがいいかな」「どちらも変わらずおいしいね」などおしゃべりしながら、みんなでつくった笹団子をたっぷりと楽しみました。

笹団子試食1
笹団子試食2

ツアー1日目はここで解散。それぞれ入浴や食事をして民宿で休み、翌日の播種作業に備えます。

DAY2

畑仕事は楽しいけど楽じゃない? 力を合わせて種をまく。 ツアー2日目の6月10日は、いよいよ一人娘の播種作業を行います。粟島の人も参加者も、おそろいのTシャツを着て畑に集まりました。集合写真は、親指と人差し指で豆を持つイメージで丸をつくる「miinoポーズ」でパチリ。畑という場所の開放感もあって、自然と笑顔になりました。

集合写真

作業の前には、観光協会のスタッフさんや島のサポートメンバーのみなさんからレクチャーを受けました。その内容をざっくりまとめると、作業の手順は「1.種をまく場所を決め、土を起こす」「2.種をまく」「3.土をかぶせる」の3ステップ。

「1.種をまく場所を決め、土を起こす」ではロープを使って、まっすぐ等間隔に種をまけるようにしました。ロープを置いたら、足を使って種をまく場所の土を起こしていきます。これがなかなかの重労働!だんだん足が重くなってくるので、みんなで交代しながら土を起こしていきました。

種まき場所決め
種まき1

「2.種をまく」では、土の中に種を埋めるのではなくて、土の上に種があることがわかるように種をまいていきます。種をまく人は「カニ歩き」で。となりの列を踏んでしまわないように、そろりそろりと横に進みます。

種まき2
種
種まき3
種まき4

「3.土をかぶせる」の工程では鍬(くわ)を使って掘り起こした土をかぶせていきます。こちらもなかなか力のいる作業。「余計かな、と思うくらい土かぶせるんだよ」という島のばぁばの言葉を聞いて、少し多めに土をかぶせていきました。

土をかぶせる1
土をかぶせる2

また作業の合間に、2週間前に種をまいた「一人娘」の畑を見せていただきました。そこには鮮やかな緑色の、かわいらしくもたくましい芽がたくさん!私たちが植えた種も、こんな風に元気に育っていくといいな〜。

一人娘の芽1
一人娘の芽2

いくつかの畑を移動しながら種まきを進めていく中で、とくに大変な場所が出てきました。それは、耕作放棄地から畑に戻したばかりのところ。

そうした場所は草木の太い根や石があったり、土が硬く塊になっていたり、種をまくにはまだ準備不十分なのです。手作業で根を取り除き、ゴロゴロした粘土質の土を砕かなければなりません。人の手が入らなくなった土地を畑に戻すのは、とても骨の折れる、人手が必要な作業だと思いました。

実は今年、昨年よりもたくさんの「一人娘」を収穫できるようにとさらに耕作放棄地を開墾し、畑を拡大。そのため、昨年の収穫ツアーのときよりも、作業する面積が大幅に増えていました。

それでも、ツアー参加者と島のみなさんとで力を合わせ、交代しながら作業していくことで、無事に種まきを終えることができました。

「粟島グルメ」に舌鼓をうちながら、島での出会いをふりかえる。 種まきを終えた2日目の夜、「粟島グルメ」をいただく食事会兼交流会「ばぁばキッチン」が開かれました。

食事を用意してくださったのは島のばぁばと粟島観光協会のスタッフさんたち。島のみなさんには朝の播種作業から夜の「ばぁばキッチン」まで、本当にお世話になりました。島のみなさんの想いに感謝しながら、みんなで盛りつけをしていきます。

おしながき
刺身

完成したのがこちら。ワンプレートに盛り付けられているのが、タイとヒラメのお刺身、えご練り、サラダスパゲッティ、タラのしょうゆ干し、サバのしょがら(塩辛)。小鉢がぎんばそう、茎わかめの和えもの。そして一人娘の味噌を使ったブリ入り味噌汁と、島のごちそうが並びました!

夕食
一人娘の味噌を使ったブリ入り味噌汁

みんなに料理が行き渡ったところで、お待ちかねの乾杯です。汗を流した後の一杯は、格別!旅の楽しい思い出や播種作業のことをふりかえりながら、料理にお酒に、舌鼓をうちました。

乾杯

交流会の最後に、ツアー全体を通しての感想をシェアする機会がありました。

「粟島のみなさんの真心を感じた」「大変だったけど来年も参加したい!」「カルビーの社員さんに親しみを感じた」などの声があり、さまざまな体験を通じて、島の人たちや「一人娘」、カルビーさんへの「好き」が深まったようです。そのときの参加者の声をいくつかご紹介します。

また、私たちを迎えてくれた粟島のみなさんからは「このツアーでさまざまな方と会えることが楽しみ」「miinoの取り組みをたくさんの方に知ってもらって、島の内外で協力する関係をずっと続けていけたら」という言葉をいただきました。

島外から来た私たちだけでなく、島の方もこのツアーで生まれたつながりを喜んでくれているとわかり、うれしくなりました。

楽しい時間はあっという間に過ぎ、粟島「一人娘」の播種作業支援ツアーは最終日、6月11日を迎えました。

今回のツアーでは一部の参加者の方が、午後まで残ることになったので、一緒に粟島に来た仲間からも見送られる形に。大漁旗を振る姿は、まるで島の住人のようです。私たちはその姿を見ながら、島で出会った人や畑のことを思い出していました。

港の見送り
船で手を振る

粟島で、「さまざまな好き」を持つ人たちや島の畑とつながることができたのは、「一人娘」という、おいしい青大豆があったおかげ。そう考えると、粟島の「一人娘」にはご縁をむすぶ力があるように思えてなりません。

「一人娘」がむすんでくれたご縁を大切に、粟島、そしてmiinoへの「好き」という思いで、これからもつながっていきたいと思いました。次回、7月に行われる「一人娘」の農業支援ツアーでは草取り作業を行います。こちらのツアーにも参加してレポートしますので、読んでいただけたらうれしいです!

粟島PROJECTページはこちら

WEBサイト https://www.calbee.co.jp/hitorimusume/index.php
ヤマシタナツミ

ライター

ヤマシタナツミ

新潟市生まれ。新潟大学農学部卒。「人と地域の未来をつむぐ」をテーマにライティング、イラストレーション、小説創作をしています。

WEBサイト https://www.yamashitanatsumi.com
粟島 一人娘

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