宮城県東松島市の畑より ~震災からの復興。更地からリスタートしたじゃがいも栽培~

こんにちは!

今回は、2011年3月の東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県東松島市を訪れました。


津波によって一度はすべてが流され、更地となったこの土地で、今はじゃがいもやコメをはじめとする作物の栽培に取り組む農業法人「めぐいーと」さん。
今回は代表の川村さんに、復興までの歩みと、じゃがいも栽培を始めたきっかけ、そして今年の生育状況についてお話を伺いました。

▲株式会社めぐいーと 川村さん

-「めぐいーと」さんは2022年度からカルビーポテトと契約を開始されたと伺いました。どういったきっかけだったのでしょうか。
もともとはコメを中心に栽培していたのですが、収穫が9月頃なので、それまでの期間に何か別の作物ができないかと考えていました。そんなとき、近くの生産団体さんがじゃがいもの栽培をしていて、アドバイスをいただきながら始めてみたのがきっかけです。

-川村さんご自身は、いつから農業に携われているのでしょうか?
以前はJA職員として働きながら農業も行う兼業農家でした。本格的に農業1本になったのは約10年前です。
収穫の時期は、朝5時半から7時まで畑で作業をして、そのあと出社する生活を送っていましたね。(笑)

-震災当時はJA職員として働いていらっしゃったのですね。東松島市の畑はどのような状況だったのでしょうか?
津波は海から3kmほど内陸まで押し寄せ、震災後は本当に何もない状態になりました。もともと農地だった場所も、ヘドロや瓦礫に覆われてしまっていました。

↓↓東松島市の海沿い


-そこから農業を再開するのは大変だったのではないでしょうか・・・
そうですね。でも、止まってはいられないので。田んぼは、震災の2ヶ月後には水を入れ、海水の塩分を抜く作業を始めていました。
畑の復旧は時間がかかりましたが、少しずつ進めていきました。当時は耕すと石や瓦礫だけでなく、衣類や食器など生活用品なんかも出てきたりして。ロータリーなどの農機が壊れることも多かったですね。

-まさにゼロからの再スタートになったのですね。
本当にその通りで、まずは更地のどこに何を作るのか、区画を決めるところからでした。今は畑作をやっている場所も、もともとは団地があったところなんです。
農地も1枚10a(アール)ほどの細かい区画でしたが、震災後は1枚の区画を広げて1ha(ヘクタール)単位の大区画になり、法人での農業経営も増えました。


-元々畑があったところをやり直すというよりも、新たに畑を作り出したという感じですね。「めぐいーと」さんを立ち上げられたのも、そうした流れの中ですか?
はい。当時、わたしはまだ属していなかったんですが、震災のあとに畑整備の話が出て、「個人では難しいから、農地を守るためにみんなで大規模経営をやろうか」という流れになったと聞いています。最初は6人でのスタートでした。みんな元々やってる作物もバラバラだったんですけどね。

-今はかなり規模も大きくなっていると聞きました。
最初は40haくらいだったのが、今は170ha近くまで増えています。高齢化の影響で農業をやめる人も増えているので、うちで引き受けることも多くなりました。

-カルビーポテトとは契約をはじめて4年目で高反収が評価され、「宮城県ぽてと生産者大会」にて宮城県知事賞を受賞されていらっしゃいますが、じゃがいも栽培に関してのこだわりを教えてください。
実は1年目は、大雨で全滅してしまったんです…。その経験から、栽培場所の分散や、排水対策を徹底しています。
通常は畑の両端に排水を設けることが多いですが、うちでは畑を囲うように4か所設置して、水がしっかり流れるように逃がし方を工夫しています。

↓↓畑の周りにしっかり作られた排水設備




-土づくりについてはいかがですか?
このあたりの土は砂っぽく肥料が流れやすいので、堆肥をしっかり入れて、土そのものを育てていくようにしています。
また、場所によっても出来が大きく変わるので、畑選びは毎年重要なポイントです。震災で一度環境がリセットされたこともあり、改めて各畑の特性を把握しながら情報を蓄積し直しています。

-今年のじゃがいもの生育状況はいかがでしょうか?
ここまでは順調ですね。今年は6月に適度な雨が降ったので、生育も良好です。
早めに植え付けを行ったので、7月中旬には収穫できる予定です。

↓↓開花している様子、栽培品種は「オホーツクチップ」


-今後、力を入れていきたいことはありますか?
仲間をもっと増やしていきたいですね。じゃがいもを作る生産者が増えれば、安定供給につながり、地域としての強みにもなると思います。
そのためにも、他の方の見本となるような栽培を続けていきたいと思っています。

-最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
宮城県のじゃがいもは、まだまだ知られていな部分も多いですが、こうして少しずつ生産が広がっています。生産量が増えれば商品として届けられる機会も増えるので、より多くの方の手に届くよう、この地域での栽培をこれからも頑張ります!
ぜひ宮城県産じゃがいもに関心を持ってもらえたら嬉しいですね。


津波で一度はすべてを失った土地。そこから積み重ねてきた試行錯誤と努力の先に、今の農業がありました。
自然と向き合いながら前に進み続ける姿には、たしかな強さが感じられました。

↓↓川村さんと東北フィールドマンの和田さん


東北のじゃがいも収穫ももうすぐです!

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