研究ストーリー

じゃがいも未利用資源の有効活用

01研究背景:未利用資源の有効活用

じゃがいもは世界の五大食用作物のひとつに数えられており、世界中で食されています。私たちが普段食べている部分は「塊茎(かいけい)」といいますが、塊茎は美味しいだけではなく、私たちの体に必要な成分を豊富に備えており、自然の力たっぷりの食材といえます。しかしながら、塊茎以外の部位については、あまり研究がなされていません。
一方、産業廃棄物削減のゼロエミッション 1) を目指す観点から、じゃがいもを加工する際に取り除かれる「皮」は、新たな有効利用法が求められています。カルビーのDNAである「未利用資源の有効活用」を念頭に、未知なるじゃがいもの自然の力を掘りだせるよう、じゃがいもの皮の新規機能性を探索しています。

1) 廃棄物を一切出さない資源循環型の社会システム

じゃがいもは自然の力たっぷりの食材ですじゃがいもの栄養の表

しかしながら皮については、


Potato Peel

・含有成分?
・機能性?

  • 明らかにされていない。
  • 加工処理により出る皮の
    有効利用が期待される。

02研究方法

じゃがいもの皮に含まれる成分や機能性については未知の部分が多く、あらゆる技術を駆使して探索しています。いわば宝探しを行うようなイメージです。具体的には、じゃがいもの皮から成分を抽出し、抽出物の活性評価を行います。活性にヒットが出たら抽出物を分画 2) ・精製し、活性成分の同定 3) を行います。
このように抽出、分画、精製、化合物同定、活性評価などの実験手法を組み合わせることで、じゃがいもの皮にどのような成分が含まれ、どのような機能性を発現するか調べています。

2) 成分の性質ごとに抽出物を分ける操作

3) 化合物が何か決定すること

03研究事例

これまでに取り組んできた研究事例を一つ紹介します。一般に、植物は内側よりも外側の皮の部分に多くのポリフェノールを含んでいます。これは紫外線や害虫から自らを守るためです。実際にじゃがいもの皮にも、多くのポリフェノールが含まれています。その成分組成を調べたところ、これまでヒトの皮膚に効果があると報告されている成分が多く含まれていました。

じゃがいものポリフェノール

ポリフェノール類は皮に多く濃縮されている!

そこで皮膚に対して何か良い作用があるのでは?と考え、じゃがいも皮抽出物(PPE:Potato Peel Extract)を作製して、正常ヒト皮膚線維芽細胞 4) に対する影響を検討しました。その結果、PPEは皮膚のハリや弾力性維持に重要な「Ⅰ型コラーゲン 5) 」の産生量を増加させる効果があることが分かりました。

4) 皮膚の真皮層に存在する細胞で、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などの細胞外マトリックスを生成し、皮膚機能を維持している

5) 真皮層で最も多く存在する成分であり、肌の弾力性維持に寄与している。

じゃがいも未利用資源である
」の皮膚に対する影響を検討する。

皮膚におけるコラーゲンの役割

正常繊維芽細胞に対するPPEの効果

04今後の展望

じゃがいもの皮がヒトの皮膚に対して優れた効果を有し、皮膚老化を予防できるポテンシャルを持つ素材であることを初めて見出しました。今後はこのような研究成果を活かした研究基点の商品開発に注力していきたいと思っています。
商品化までにはまだまだ壁はありますが、未だかつて知られていなかったじゃがいもの新たな自然の力を掘りだし、お客様に届けられるよう日々研究を重ねていきたいと思います。

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