共同研究講座の研究成果

学会発表

Safety and efficacy of using cereal food (Frugra®) to improve blood pressure and bowel health in patients undergoing chronic hemodialysis: A pilot study

2021. 4. 16-19.

[Graphical abstract]

表1. 間食・夕食の栄養成分

背景・目的

血液透析患者の合併症に高血圧や便秘がある。透析患者においても高血圧に至る要因の一つに食塩摂取量の過多が報告されている。また透析患者は果物、野菜、豆類、ナッツ、全粒穀物製品に対する厳しい食事制限から便秘を併発することも報告されている。健常人を対象にした食物繊維や水分摂取量を増やすなどの便秘管理戦略は、食事由来のナトリウム、カリウム、リン、水分などに摂取制限がある透析患者には適応されにくい。 シリアル食品の一つであるフルグラは1食あたりの食塩相当量が0.5gであり、減塩食ツールの一つの可能性がある。また4.5gの食物繊維も含まれており、透析患者の課題解決に適切な食事のひとつであると可能性があると考えられたが、有効性および安全性の検証はされていない。そこで本研究では、血液透析患者における血圧と腸の健康に焦点を当て、通常の朝食をフルグラに変更した時の安全性と有効性を検証した。

方法

順天堂大学および海部医院にて被験者を募集し、11名の血液透析患者に協力を頂いた。被験者は朝食の食事として1食50gのフルグラを8週間摂取してもらい、摂取前後での血圧、血液生化学検査、便症状を測定した。

結果

11名の透析患者において、フルグラ摂取による血清カリウムやリン酸塩の上昇、またはその他の有害事象は見られなかった。フルグラ摂取8週間後の被験者の収縮期血圧は155.5±20.9mmHgから137.9±10.3mmHgへと低下した。11名すべての被験者が便通改善を報告し、腸由来の尿毒症毒素であるインドキシル硫酸は49.3μg/mlから33.4μg/mlに減少した。本研究によりフルグラが血液透析患者の健康管理に役立つ可能性を明らかにした。

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