研究成果
(学会発表・研究論文)

  • 学会発表

加工用ジャガイモ塊茎中の遊離アミノ酸組成を明らかとしました
「加工用ジャガイモ塊茎中の成分について-遊離アミノ酸含有量-」
日本食品科学工学会第50回大会においてカルビー株式会社基礎研究チーム発表
2003.09.12

背景

ジャガイモ塊茎は炭水化物を豊富に含む食糧資源であるとともにアミノ酸・アスコルビン酸などの優れた供給源としての価値が認められています。これまで生食用ジャガイモに関しては、塊茎の成分およびその分布に関する研究は数多く認められます。しかし加工用ジャガイモについての報告はあまり多くありません。含有する成分によってはそれを原材料とする加工食品の品質・味へ大きく影響することが考えられます。

目的

国内産の加工用ジャガイモ塊茎中の様々な成分の中から、味・風味への影響が考えられる遊離アミノ酸についてその含有量および品種別差異、また塊茎内の分布について調査を目的としました。

研究内容

ジャガイモ塊茎中の遊離アミノ酸の分析方法としては、塊茎を洗浄・粉砕後、80℃・30min75%エチルエタノールで抽出しました。その後希釈・ろ過し、高速液体クロマトグラフ(HPLC)装置を使って分析しました。 アミノ酸との反応試薬として、OPAとFMOCを使用しました。加工用として現在最も多く使用されている品種について遊離アミノ酸の組成、比重との関係および塊茎内の分布、そして品種による違いについて検討しました。
結果
ジャガイモ(トヨシロ)塊茎中の遊離アミノ酸の含有量およびその組成について図1に示しました。もっとも多く含まれるアミノ酸はアスパラギンで、遊離アミノ酸総量の約3分の1を占めております。
図1.ジャガイモ(トヨシロ)塊茎中の遊離アミノ酸含有量
100g当たりおおよそ400mgの遊離アミノ酸が含まれていました。もっとも多く含まれている遊離アミノ酸はアスパラギンで、総遊離アミノ酸の約3分の1を占めており、さらにグルタミン、グルタミン酸を加え3種類で3分の2を占めていました。
図2.ジャガイモ品種間の遊離アミノ酸含有量
じゃがいもの品種によっては最大で2倍程度の含有量に違いがあることが認められました。また、生食用品種のほうが加工用品種よりも遊離アミノ酸含有量が高い傾向を示しました。
図3.塊茎部位別の遊離アミノ酸含有量
ジャガイモ塊茎中の遊離アミノ酸の分布では、塊茎の中心部、すなわち隋部の方が外側の皮層部に比べ、平均で2倍程度高い結果となりました。 またストロン側、基部の方が頂部に比べ高濃度で含まれていることが分かりました。

まとめ

[ 1 ]  生食用、加工用ジャガイモ品種間で遊離アミノ酸の含有量に違いが認められ、品種間で遊離アミノ酸含量に違いがあることが示唆されました。
[ 2 ]  遊離アミノ酸含有量と塊茎の比重との相関は、認められませんでした。
[ 3 ]  塊茎の髄部には皮層部の約2倍の濃度で遊離アミノ酸が存在していました。また、頂部よりも基部のほうが濃度は高く含まれておりました。
[ 4 ]  発芽したジャガイモ塊茎の芽には、塊茎部分より高い濃度で遊離アミノ酸が含まれていました。とくに芽はプロリン、グルタミンの割合が多くなっていました。

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