研究成果
(学会発表・研究論文)

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ポテトチップス中の褐変反応生成物に抗酸化活性があることを確認
「ポテトチップスに含まれる褐変反応生成物のDPPHラジカル消去活性」
日本調理科学会平成16年度大会においてカルビー株式会社基礎研究分析チーム発表
2004.09.10

背景

メイラード反応によって生じる褐変反応生成物には抗酸化活性があることが、様々な食品で報告されています。ポテトチップスでも、フライ調理時に褐変反応が生じて風味に大きく影響しています。この褐変反応生成物にも抗酸化活性があることが推測できます。

目的

そこで、カルビー株式会社基礎研究分析チームでは、ポテトチップス中の褐変反応生成物の抗酸化活性について明らかにするために調査しました。

研究内容

ポテトチップスから水溶性物質を抽出し、限外ろ過にて分画後、それぞれの画分について褐変度と抗酸化活性を比較しました。さらに分子量3,000未満の画分をSephadex LH-20ゲルろ過クロマトグラフィーによって分画し、各フラクションの抗酸化活性を比較しました。
抗酸化活性の測定にはDPPHラジカル消去活性法を用いました。ラジカル消去活性はクロロゲン酸相当量として計算しました。ちなみにクロロゲン酸とはジャガイモに含まれるポリフェノールの一つです。
図1.ポテトチップス抽出液の分子量、褐変度とDPPHラジカル消去活性
ポテトチップスの水溶性抽出物を限外ろ過にて分画し、各画分を凍結乾燥しました。それを同じ濃度になるように水に溶解して褐変度を測定したところ、分子量20,000未満の画分に褐変度が高いことが確認されました。
各画分の水溶液の抗酸化活性を比較したところ、分子量3,000~20,000の画分は最も活性が高かったのですが収量は少なく、総活性で比較すると分子量3,000未満の低分子画分が最も活性が高く、全体の約90%に寄与していました。
図2.Sephadex LH-20フラクションのDPPHラジカル消去活性
限外ろ過の分子量3,000未満画分をSephadex LH-20にて分画したところ、褐変度の高いフラクション(13~27)、クロロゲン酸を含有するフラクション(26、27)、褐変度が低いフラクション(28~50)に分離されました。
各フラクションのDPPHラジカル消去活性を比較すると、クロロゲン酸を含有するフラクションの活性が顕著に高いのですが、褐変度の高いフラクションの方が総活性では大勢を占めていました。
以上のことから、ポテトチップスの抗酸化効果はフライ調理によって生じる比較的低分子の褐変反応生成物が大きく寄与しており、さらにジャガイモに含まれるポリフェノールであるクロロゲン酸もフライ調理後も多くが残存することにより抗酸化効果に寄与していることが確認されました。

まとめ

[ 1 ]  ポテトチップスの水溶性抽出物を限外ろ過にして分画したところ、分子量20,000~3,000の画分が最も褐変度、抗酸化活性が高いことが確認されました。
[ 2 ]  また、抗酸化活性の総量で比較すると、分子量3,000未満の低分子画分が最も高く、全体の約90%に寄与していました。
[ 3 ]  分子量3,000未満の画分の抗酸化活性の多くは、ジャガイモ由来のクロロゲン酸と、低分子量の褐変反応生成物によるものでした。

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