研究成果
(学会発表・研究論文)

  • 学会発表

ポテトチップスにはジャガイモに含まれる葉酸が大きく損なわれることなく残っています
「ジャガイモ主原料菓子中の葉酸含有量」
第53回日本食品科学工学会大会においてカルビー株式会社基礎研究チーム発表
2006.08.29

背景

葉酸はビタミンB群の一つでタンパク質の代謝や核酸合成に必須です。細胞の分裂や機能を正常に保つために重要な役割を果たしています。そのため、胎児や乳児の脳や神経の正常な発達を助けるはたらきがあります。
妊娠している人は一日に400マイクログラム摂取することが目標量とされていますが、2006年4月に開催された日本産科婦人科学会大会では「90%以上の妊婦では不足している」との報告がありました。

目的

ジャガイモには葉酸が多く含まれています。そこで、カルビー株式会社基礎研究チームでは、ジャガイモおよびポテトチップスに含まれる葉酸含有量を調査しました。

研究内容

ポテトチップスの原料となるジャガイモは主に「トヨシロ」と「スノーデン」という品種です。もっとも多く使用されるのがトヨシロですが、収穫翌年の3月頃から、新芋が収穫される6月頃までは貯蔵性が良いスノーデンが主に原料となります。
9月に北海道で収穫された2品種のジャガイモを専用倉庫にて長期間保存し、葉酸含有量の変動を調査しました。
また、市販されているポテトチップスの葉酸含有量も調査しました。
図1.ジャガイモ貯蔵中の葉酸含有量の推移
ジャガイモを長期貯蔵しても葉酸含有量に顕著な変動はありませんでした。貯蔵末期になると若干の増加傾向が見られましたが、澱粉の減耗、発芽の影響などが考えられます。
品種間で比較すると、トヨシロに比べスノーデンでは1.5~2.0倍の葉酸含有量でした。一方、北海道の三産地を比較しましたが、有意な差はみとめられませんでした。
図2.ポテトチップスの葉酸含有量
ポテトチップスの葉酸含有量は原料のジャガイモ品種に大きく依存しています。
トヨシロが原料の場合は製品100グラムあたり30マイクログラム程度の、スノーデンが原料の場合は製品100グラムあたり60マイクログラム程度の葉酸を含有しています。これは生のジャガイモの約2倍の含有量です。フライ調理することでジャガイモの葉酸がより摂取しやすくなったと言えるでしょう。
葉酸は熱に弱いビタミンですが、ポテトチップスの調理は短時間で完了し、しかもジャガイモに含まれる水の気化熱によって品温は100℃近辺に保持されているため、調理による損失は最小限に抑えられます。一方で脱水による濃縮効果がはたらくため、フライ調理によって含有量が増加するのです。

まとめ

[ 1 ]  ジャガイモに含まれる葉酸含有量は品種間で差がみとめられ、スノーデンではトヨシロの1.5~2.0倍でした。
[ 2 ]  ジャガイモの長期貯蔵中の葉酸含有量は大きな変化はありませんでしたが、若干の増加傾向がみとめられました。
[ 3 ]  ポテトチップスに含まれる葉酸含有量はジャガイモの品種に大きく依存していました。
[ 4 ]  ジャガイモをポテトチップスに加工することで、濃縮効果により葉酸含有量が高められることが確認されました。

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