研究成果
(学会発表・研究論文)

  • 学会発表

ポテトチップスに含まれるビタミンCは体内に吸収され、尿から排出されにくい傾向を確認
「ヒトにおけるじゃがいもおよびポテトチップスに含まれるビタミンCの吸収」
日本農芸化学会2010年度大会において、カルビー株式会社研究部、
東京都健康長寿医療センター研究所、東邦大学薬学部との共同研究として発表
2010.03.28

背景

じゃがいもにはビタミンやミネラルなど栄養成分が含まれていることは分かっています。またそれを原料とするポテトチップスは、フライ調理することで水分が蒸発し、濃縮されることが分かっています。

目的

じゃがいもやポテトチップスをヒトが摂取した際に、これら栄養成分がヒトの体に吸収されるかどうかについては分かっていません。そこで、そこで今回、じゃがいもに含まれているビタミンCに着目し、じゃがいもやポテトチップスを食べた時、人間の体に吸収されているのかどうかを確認するために実験を行いました。

研究内容

試験日3日前より規定食を摂取した健康な20代男性5名に、試験当日朝にビタミンCを溶かした水、蒸したじゃがいも、ポテトチップスをサンプルとして同じヒトで期間を空けて全て摂取してもらいました。採血及び採尿は、試験当日の摂取直前(0時間)~摂取後8時間まで経時的に実施しました。その採血及び採尿中の総ビタミンC濃度は、HPLC-電気化学検出器を用いて定量しました。摂取サンプルとしては、ビタミンCの摂取量として50mgとなるように、50mgのビタミンCを含む純水、50mgのビタミンCを含むポテトチップス87g、および蒸しじゃがいも282gとしました。
図1.血液中のビタミンCと血液中のビタミンC変化

血漿中の総ビタミンC濃度の結果です。左のグラフは血漿中の総ビタミンC濃度の経時変化、右のグラフは摂取直前の血漿ビタミンC濃度を0とした血漿中総ビタミンC濃度増加量を示しています。ビタミンC水摂取時の血漿総ビタミンC濃度は直線的に増加し、およそ2時間でピークに達しました。ポテトチップス及び蒸しじゃがいも摂取後の血漿総ビタミンC濃度は、ビタミンC水摂取時と同様、直線的に増加し、3時間でピークに達し、以降顕著な変化は認められませんでした。

図2.尿中のビタミンCとビタミンC排泄量の合計

続いて、尿中の総ビタミンC濃度の結果です。左のグラフは尿中のビタミンC濃度の経時変化、右のグラフは総ビタミンC排泄の合計を示しています。ビタミンC水摂取後の尿中総ビタミンC濃度は急激に増加しました。ポテトチップス及び蒸しじゃがいも摂取後の尿中総ビタミンC濃度は、ビタミンC水摂取に比べて低値を示しました。また、尿中ビタミンC排泄量の合計も、有意差はないものの、ポテトチップス及び蒸しじゃがいも摂取後のビタミンC総排泄量は、ビタミンC水摂取に比べて低値を示し、ビタミンCが尿から排泄されにくい傾向が認められました。

まとめ

ポテトチップス及び蒸しじゃがいもに含まれるビタミンCは、確かに人体に吸収、血中移行することが初めて明らかとなりました。

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