研究成果
(学会発表・研究論文)

  • 学会発表

ポテトチップスの減圧調理はフライ油の劣化を抑制し、機能性成分の減少を抑制することを確認
「ポテトチップスに含まれる各種機能性成分に及ぼすフライ条件の影響」
日本油化学会第49回年会においてカルビー株式会社 研究部 研究課、
成蹊大学理工学部天然物応用化学研究室との共同研究として発表
2010.09.16

背景

ジャガイモにはビタミンC(アスコルビン酸)やポリフェノール(クロロゲン酸)などが、また、ポテトチップスのフライ油として用いている米油にはビタミンE(トコフェロール[Toc]、トコトリエノール[Toc-3])、およびγ-オリザノール(γ-Ory)などの機能性成分が含まれています。ポテトチップスはジャガイモをフライ調理して作るため、できあがったポテトチップスにはジャガイモとフライ油の双方の機能性成分が含まれていることがわかっています。

目的

ポテトチップスに含まれるジャガイモとフライ油由来の各種機能性成分に注目し、常圧下と減圧下でのフライ調理がフライ油およびポテトチップス中の機能性成分に及ぼす影響について比較検討を行いました。

研究内容

常圧下と減圧下でのポテトチップスのフライ調理に伴うフライ油の劣化と機能性成分の変化を調べるため、ポテトチップスを120回繰り返し調理しました。フライ油には機能性成分を含む米胚芽油(築野食品工業株式会社製)を用いました。120回調理後のポテトチップス含有油脂とフライ油について、油の劣化指標であるアニシジン価、極性化合物量、重合物量を測定するとともに、0、60、120回調理後の酸化安定性試験を行いました。
図1.油脂の劣化

減圧調理したポテトチップス含有油脂のアニシジン価、極性化合物量および重合物量は常圧調理と比較してわずかに低い値を示しました。酸化安定性はいずれの調理でも調理回数に伴って低下しましたが、その低下率は減圧調理の方が小さく、減圧調理下では油脂の酸化安定性が維持されやすいことが判明しました。


また、ポテトチップス含有油脂とフライ油中のToc、Toc-3およびγ-Ory量を測定しました。

図2.ポテトチップス含有油脂中の機能性成分

減圧調理下のポテトチップスおよびフライ油のToc、Toc-3およびγ-Ory量は常圧調理と比較してわずかに高く、調理を減圧下で行うことによって機能性成分の減少が防止されることが確認されました。

まとめ

図3.まとめ

減圧調理はフライ油の加熱劣化を抑制すると共に、フライ油の機能性成分の減少を抑制することが確認された。

謝辞
米胚芽油をご提供いただきました築野食品工業株式会社に感謝致します。

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