研究成果
(学会発表・研究論文)

  • 学会発表

ポテトチップス中の葉酸または他のビタミンB群は体内に吸収され、さらに動脈硬化の危険因子であるホモシステイン低下の可能性を示唆
日本食品科学工学会第58回大会において、カルビー株式会社研究部、
金沢大学大学院医学系研究科、(株)エスアールエル、富山大和漢医薬総合研究所との
共同研究として発表
2011.09.11

背景

じゃがいもを原料とするポテトチップスにはビタミンCをはじめビタミンB群やミネラルが含まれています。また近年では、ビタミンのなかでも葉酸が胎児への先天性疾患の予防や動脈硬化の予防といった面から、若い女性や高齢者にとっても重要であると言われてきています。

目的

ポテトチップスには原料のじゃがいも由来のビタミンCや葉酸、その他のビタミンB群が濃縮されて含まれていることが分かっています。またこれまでの研究でポテトチップスを食すことで、その中に含まれているビタミンCがヒトに吸収されることも分かっています。そこで、今回はポテトチップスを食すことによりビタミンB群、とりわけ葉酸が吸収されているのかどうか確認するために実験を行いました。

研究内容

まず、被験者の選出を実施しました。葉酸の代謝(リサイクル)に関わる酵素として、MTHFRがあります。この酵素は遺伝子多型があることが知られています。 具体的には、遺伝子の677番目の塩基がシトシンからチミンに変わることで、通常のCC型から、CT型、TT型とに分類されます。その中でTT型は、この酵素の働きが弱いということが知られ、日本人で約16%の方がこのTT型であると報告されています。そこで、本実験ではあらかじめ血液検査により遺伝子を調べて、TT型を除くCC型とCT型のみを被験者として選出しました。 その内訳として、堅あげポテト群では男性3名、女性3名の計6名、葉酸製剤摂取群は、男性1名、女性1名の計2名でした。
図1.摂取試験の概要

試験の前日の朝より、同一の調整標準食を食べていただきました。試験開始の直前に採血を行い、血清中の葉酸及び血液中のビタミンB1、B2、ナイアシン、そして血清中のB6の測定を行いました。堅あげポテト群は、葉酸120μgを含む堅あげポテトを150gと水100mLを摂取していただきました。また葉酸製剤群は、葉酸吸収確認のため葉酸10mgを含む葉酸錠と水100mLを摂取していただきました。この葉酸の値は、堅あげポテトの約85倍の量になります。その後、一時間ごとに水50mLを摂取していただき、1時間後に採血して葉酸を測定しました。また3時間後に採血して葉酸、ビタミンB1、B2、ナイアシン、B6を測定しました。そして摂取6時間後に採血して葉酸、ホモシステインを測定しました。

図2.葉酸とホモシステイン変化

摂取前を基準として、葉酸とホモシステイン濃度の変化量を示した図です。 左のグラフは、堅あげポテト摂取群の葉酸の変化量になります。摂取後に確かに増加しているのが分かります。 右のグラフは、堅あげポテト群、葉酸製剤群のホモシステインの変化量になります。葉酸の増加量は葉酸製剤群の方が高かったのに対して、ホモシステイン濃度は、摂取前をゼロとした場合、摂取6時間後に両群においてどちらも同程度(0.8(mmol/ml))低下することが分かりました。

図3.B群の変化

この図は、ビタミンB1、B2、B6、ナイアシンの変化量を示しています。 葉酸製剤群は、そもそもこれらビタミンは含まれていませんので、摂取3時間後にはすべて減少が認められました。 それに対して、堅あげポテト群では、摂取3時間後にビタミンB6が有意に増加し、B1は増加傾向が認められました。 さらにB2、ナイアシンに関しては、減少が抑制される傾向が認められました。

まとめ

堅あげポテトに含まれる葉酸は、食べることで確かに体内(血清中)に吸収されました。 そして堅あげポテト摂取6時間後の血漿ホモシステイン濃度は、低下傾向が示唆されました。 堅あげポテト摂取3時間後の血液中ビタミンB6濃度は、摂取前と比較して有意に増加し、血液中のビタミンB1、B2、ナイアシン濃度は、葉酸製剤群と比較して高い傾向が見られました。

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