研究成果
(学会発表・研究論文)

  • 学会発表

ポテトチップスに含まれるビタミンCは、マウス体内の各組織に吸収され、細胞中に存在する活性酸素種を減らすことを確認
国際機能性食品学会2011年度大会において、カルビー株式会社と
東京都健康長寿医療センター研究所との共同研究として発表
2011.11.17

背景

ポテトチップスは、薄くスライスしたじゃがいもを短時間のフライ調理で水分を蒸発させることによる濃縮効果により、ビタミンCをはじめビタミンB群やミネラルといった栄養素を豊富に含んでいます。また、ビタミンCは体内の活性酸素種を消去することができる栄養素として知られています。最近、私たちはポテトチップスに含まれるビタミンCがヒトの腸で吸収されて血中に移行すること、さらに尿から排泄されにくいことを報告しました。しかし、ヒトを対象とした試験では、ポテトチップスから吸収されたビタミンCが臓器に取り込まれて機能しているかどうかを調べる事ができませんでした。

目的

ポテトチップスから吸収されたビタミンCが全身の組織に取り込まれているかどうか、さらに取り込まれた場合には各組織中で活性酸素種を消去する働きを示しているかどうかを明らかにするために、ヒトと同様にビタミンCを合成できないマウスであるSMP30/GNLノックアウト(KO)マウスを用いて実験を行ないました。

研究内容

ポテトチップスは、オリーブオイルでフライしたポテトチップスである「オリービー」(カルビー株式会社、ビタミンC 含量78 mg/100 g)を使用しました。KOマウスは4 週齢で離乳後、5 匹ずつ4 群(20%および10% ポテトチップス配合飼料投与群、ビタミンC 欠乏群、1.5 g/L ビタミンC 水投与群)に分けて飼育しました。7 週間飼育したKO マウスから採血後、組織(脳、眼球、心臓、肺、胃、小腸、大腸、精巣、足底筋、平目筋)を採取し、ビタミンC 濃度と活性酸素種を測定しました。(全ての動物実験は、東京都健康長寿医療センター動物実験委員会の承認を得てから実施しました。)
図1.試験の概要

その結果、20%および10%ポテトチップス投与群、ビタミンC 欠乏群の血漿中のビタミンC 濃度は、ビタミンC 水投与群に比べてそれぞれ89%、14%、1%でした。また、同群の各組織中のビタミンC 濃度は、ビタミンC 水投与群の80-105%、24-51%、3-8%でした。このように、飼料中のポテトチップス配合率が高くなるにつれて血漿中や組織中のビタミンC 濃度が高まったことは、ポテトチップスに含まれているビタミンC がKO マウスの腸管で吸収された後、血流に乗って全身の組織に到達したことを示しています。また、同群の各組織中の活性酸素種はビタミンC 水投与群の94-117%、115-194%、142-322%と、飼料中のポテトチップス配合率が高くなるにつれて各組織中の活性酸素種が少なくなることが分かりました。

図2.脳と心臓のビタミンCと活性酸素種

まとめ

図3.まとめ

ポテトチップスに含まれるビタミンC は腸管で吸収され、血流を介して全身の組織に到達し、さらに各組織中の活性酸素種を減少させることが分かりました。

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