研究成果
(学会発表・研究論文)

  • 学会発表

殆どの野菜を加熱調理することでアクリルアミドが生成されることを確認。
もやしについてその低減方法を確認。
加熱調理した野菜中のアクリルアミド含有量
日本農芸化学会2009年度大会において、カルビー株式会社と日本スナック・シリアルフーズ協会との共同研究として発表
2009.03.28

背景

2002年4月、スウェーデンにおいて、炭水化物を多く含む食品を高温で加工することによりアクリルアミドが生成することが報告されました。その後、様々な加工食品についてその含有量が調査されてきましたが、家庭での調理を想定した報告はほとんどありません。

目的

アクリルアミドの摂取源や寄与率を明らかにするために、加熱調理により生成するアクリルアミドについて調査を行いました。そして、アクリルアミド摂取量を減らすために、最もアクリルアミド含量の高かったもやしに着目し、アクリルアミドの生成を抑制できる方法について検討を行いました。

研究内容

卓上IH調理器(National、KZ-PH1)にテフロン加工されたフライパンをのせ、フライパンの表面温度を熱電対センサー(MC-307Ⅲ)にて測定し、200℃に達した時点で、油脂を使用せずに前処理した各食材を100g投入して調理しました。各種料理本の標準的なレシピの加熱時間に設定し、食材ごとに最適可食状態になるように下記の通り設定しました。そして加熱調理後にアクリルアミド含量を測定しました。

(ピーマン加熱)
種を取り除き、約1cmの幅で細切りしたものを7分間加熱調理しました。
(さつまいも加熱)
表面の泥を水道水で洗い、約5mmの厚さに輪切りにして15分間加熱調理しました。
(かぼちゃ加熱)
綿と種を取り除き、5mmの厚さにスライスして6分間加熱調理しました。
(たまねぎ加熱)
皮をむき、可食部を薄く半月切りにしたものを4分間加熱調理しました。
(じゃがいも加熱)
皮をむき、5mmの厚さにスライスして10分間加熱調理しました。
(もやし加熱)
水洗いせずそのまま、4分間加熱調理しました。
(アスパラガス加熱)
3cmの長さに斜め切りして、5分間加熱調理しました。
(キャベツ加熱)
芯を取り除き、約3~4cm角にカットして、7分間加熱調理しました。
(にんにく加熱)
皮をむき、2~3mm程度にスライスし、6分間加熱調理しました。
(ほうれんそう加熱)
茎は3cmに短冊切りに、葉は約3~4cm角にカットして、7分間加熱調理しました。
(なす加熱)
ヘタを取り除き、3cmに輪切りして、5分間加熱調理しました。
(にんじん加熱)
皮をむき、葉の部分を取り除いて2~3cm程度に輪切りして8分間加熱調理しました。
図1.加熱調理におけるアクリルアミド含有量調査


加熱調理した多くの野菜でアクリルアミドが認められ、もやしが最もアクリルアミド含有量が高くなりました。

もやしを加熱する前に、水洗い(10秒、15分、30分)または熱湯で10秒間前処理したものを、4分間加熱調理しました。


図2.前処理によるアクリルアミド含有量への影響


その結果、水洗いで30分、もしくは熱湯で10秒間前処理してから加熱調理することでアクリルアミドの生成を抑制できることが確認できました。

もやしの加熱方法をIH調理器と電子レンジで比較を行いました。


図3.加熱調理方法の影響


IH調理器では、1分間加熱した時点から生成が認められましたが、電子レンジでは4分間加熱しても生成が認められませんでした。

まとめ

[ 1 ]  加熱調理した多くの野菜でアクリルアミドが認められ、もやしでは最も高濃度のアクリルアミドが検出されました。
[ 2 ]  もやしの加熱調理前の前処理方法や加熱方法を検討することでアクリルアミド生成が抑制されることが分かりました。

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