研究成果
(学会発表・研究論文)

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じゃがいもの「皮」抽出物は光老化により低下するⅠ型コラーゲン量を回復させる
UVA反復照射により誘導された真皮線維芽細胞のⅠ型コラーゲン産生低下におけるじゃがいも皮抽出物の改善効果
日本農芸化学会2018年度大会において、東京工科大学とカルビー株式会社との共同研究として発表。
2018.03.16

背景

肌の老化には、自然老化と光老化の2種類があります。自然老化は、年齢を重ねて生じる老化で、肌の機能が低下します。一方で光老化は、紫外線にさらされることで生じ、自然老化の進行を加速します。肌老化の8割は光老化が原因であることから、美容のためには肌を紫外線から守ることが重要です。
皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織の3層から構成されています。この中で、肌の若々しさの要因であるハリや弾力性に関係しているのは「真皮層」です。この真皮層で最も多く存在する線維成分は「コラーゲン」であり、肌の弾力性維持に寄与しています。しかしながら、自然老化や光老化によって、真皮層におけるコラーゲン量は減少することが知られています。コラーゲンの減少は、老化によってコラーゲンの合成と分解のバランスが崩れることにより生じます。これは、線維芽細胞におけるコラーゲン合成能が低下することと、コラーゲン分解酵素による分解が亢進されることが原因です。これにより「シワ」や「たるみ」といった深刻な肌老化現象を引き起こします。
図1


目的

じゃがいも未利用資源である「皮」の有効活用法の開発を目的とし、じゃがいもの皮がヒトの肌に対してどのような効果があるか検討しました。具体的には、じゃがいもの皮抽出物(PPE:Potato Peel Extract)を作製し、正常ヒト皮膚線維芽細胞およびUVA複数回照射により作製した光老化線維芽細胞に対するⅠ型コラーゲン産生へ与える影響を検討しました。

研究内容

正常ヒト皮膚線維芽細胞にPPEを添加し、24時間後の培養上清中のⅠ型コラーゲン量を測定しました。その結果、PPEを添加することによって、Ⅰ型コラーゲン量は濃度依存的に有意に増加しました。このことから、PPEは正常ヒト皮膚線維芽細胞におけるⅠ型コラーゲン合成能を増加させる効果があることが分かりました。
図2


次に、光老化に対するPPEの影響について検討しました。光老化線維芽細胞は、正常線維芽細胞にUVAを4日間連続照射することによって作製しました。作製した光老化線維芽細胞にPPEを添加し、24時間後の培養上清中のⅠ型コラーゲン量を測定しました。その結果、光老化線維芽細胞では、正常線維芽細胞と比較して、Ⅰ型コラーゲン量は有意に低下しましたが、ここにPPEを添加すると、濃度依存的に有意にⅠ型コラーゲン量を回復させることが分かりました。

図3


また、コラーゲン分解酵素であるMMP-1への影響も検討しました。光老化線維芽細胞にPPEを添加し、24時間後の培養上清中のMMP-1量を測定しました。その結果、光老化線維芽細胞では正常線維芽細胞と比較して、MMP-1量は有意に増加しましたが、PPEを添加することによってMMP-1の上昇を抑制することが分かりました。

図4

まとめ

PPEは、コラーゲン合成能を増加させることが分かりました。また光老化によって減少するコラーゲン量を回復させること、さらにコラーゲン分解亢進を抑制することも分かりました。このことから、じゃがいもの「皮」の中には、老化により崩れるコラーゲンの合成と分解のバランスを整える効果が期待できる成分があることが示唆されました。

図5

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