研究成果
(学会発表・研究論文)

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じゃがいもの「皮」に含まれるⅠ型コラーゲン合成亢進成分を確認
じゃがいも皮由来ポリフェノール類はヒト正常皮膚線維芽細胞のⅠ型コラーゲン合成を増加させる
日本薬学会第138年会において、東京工科大学とカルビー株式会社との共同研究として発表。
2018.03.27

背景

肌の真皮層における線維芽細胞が産生する「コラーゲン」は、肌の柔軟性や弾力性維持に寄与している重要な成分です。しかしながら、加齢とともに真皮層におけるコラーゲンは著しく減少し、シワやたるみの原因となります。皮膚老化の改善及び予防においては、コラーゲン線維の減少を抑制するため真皮線維芽細胞のコラーゲン合成能を高めることが重要です。
図1


じゃがいもの塊茎には、様々な機能性成分が含まれていることが報告されています(表1)。ビタミン類としてアスコルビン酸や葉酸、またポリフェノールとしてクロロゲン酸をはじめとするフェノール性化合物、カテキンやルチンといったフラボノイドが含まれています。しかしながら、塊茎以外の部位についての研究はあまり行われておらず、特に「皮」に含有される成分とその機能性については明らかにされていません。
図2


私たちはこれまで、じゃがいも未利用資源である「皮」の有効活用法の開発を目的とし、じゃがいもの皮がヒトの肌に対してどのような効果があるか検討してきました。その結果、じゃがいも皮抽出物(PPE:Potato Peel Extract)は、正常ヒト皮膚線維芽細胞におけるⅠ型コラーゲンの産生量を増加させることを見出しました1)
1)須藤麻里 他, 農芸化学会2018年度大会報告

目的

PPEに含まれるⅠ型コラーゲン合成亢進成分を明らかにすることを目的としました。具体的には、種々の化合物について定量分析を行い、確認できた成分について正常ヒト線維芽細胞に添加し、コラーゲン産生量の増加が確認されるか検討しました。

研究内容

一般にアスコルビン酸や一部のポリフェノールには、コラーゲン合成に影響しているという報告があります。そこで、表1に示した種々の化合物について、PPEに含まれているかどうかを確認しました。その結果、PPE中には4種類のポリフェノール(フェルラ酸、カフェ酸、プロトカテク酸、クロロゲン酸)とアスコルビン酸が含まれていることが分かりました。
図3


そこで、この5つの化合物をそれぞれ正常ヒト皮膚線維芽細胞に添加したところ、フェルラ酸とアスコルビン酸は、有意にⅠ型コラーゲン量を増加させることが分かりました。カフェ酸、プロトカテク酸、クロロゲン酸については、PPE添加濃度よりも高濃度で増加する傾向が確認されました。

図4


まとめ

PPEによるⅠ型コラーゲン合成亢進は、フェルラ酸、アルコルビン酸である可能性が示唆されました。一方で、カフェ酸、プロトカテク酸、クロロゲン酸は、直接的な作用はないものの、複合的に作用し、コラーゲン合成を亢進させている可能性があることが分かりました。

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