研究成果
(学会発表・研究論文)

  • 学会発表

じゃがいもの「皮」によるコラーゲン合成亢進メカニズムを探索
じゃがいも皮抽出物はErkおよびAktシグナルを介してヒト皮膚線維芽細胞のⅠ型コラーゲン合成を増加させる
第41回分子生物学会年会において、東京工科大学とカルビー株式会社との共同研究として発表。
2018.11.28

背景

じゃがいもには、フェノール性化合物やフラボノイドなどの機能性成分が含まれています。これら化合物は、塊茎よりも周皮に多く含まれることが分かっていますが、じゃがいもの皮が持つ機能性や生理活性については詳細な研究はなされていません。
これまでに私たちは、じゃがいも皮抽出物(PPE:Potato Peel Extract)が、正常ヒト皮膚線維芽細胞におけるⅠ型コラーゲンの産生量を増加させることを見出しています1)。
1) 須藤麻里 他, 農芸化学会2018年度大会報告
(http://www.calbee.co.jp/rdde/library/academic_meeting_report_32.html)
Ⅰ型コラーゲンは、皮膚の柔軟性や弾力性維持に寄与している重要な成分であり、じゃがいもの皮が、ヒトの皮膚に対して優れた作用を持つことを見出したのは初めてです。しかしながら、PPEの詳細な作用機序は分かっていませんでした。

目的

PPEのⅠ型コラーゲン合成メカニズムを明らかにすることを目的とし、コラーゲン合成に関与する種々の遺伝子およびシグナル因子に与える影響を検討しました。

研究内容

線維芽細胞におけるⅠ型コラーゲンの合成には、様々な増殖因子やサイトカインが関与しています。その中でもTGF-βは合成を促進する主要な増殖因子です。正常ヒト皮膚線維芽細胞にPPEを作用させたところ、TGF-β receptorのmRNA発現量が有意に増加することを確認しました。このことから、PPEはTGF-βシグナルに作用してコラーゲンの合成を促進している可能性が考えられました。

TGF-βは様々なシグナル因子を活性化させることによってⅠ型コラーゲンの合成を促進します。最もよく知られているシグナル因子はSmadであり、TGF-β-Smad経路とよばれています。ところが、検討の結果、PPEはSmadの活性化には関与せず、ErkおよびAktという別のシグナル因子を活性化することが分かりました。
これまでに報告されているコラーゲン合成を亢進する素材は、TGF-β-Smad経路を活性化するものが多いのに対して、PPEは異なる経路を活性化することが明らかになりました。
図1


まとめ

PPEはTGF-β receptorを介してMAPK/ErkおよびPI3K/Aktシグナルを活性化し、Ⅰ型コラーゲン合成を亢進させる可能性が示唆されました。

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