研究成果
(学会発表・研究論文)

学会発表

間食にフルーツグラノーラを摂取した時の夕食時血糖値と睡眠の質に与える影響
―オープンラベルランダム化クロスオーバー試験―

2021. 5. 30

[内容]

夕食の3時間前にフルーツグラノーラを間食すると、夕食時の食後血糖値上昇を抑制し、睡眠の質に影響を与える可能性が示唆されました。
「間食にフルーツグラノーラを摂取した時の夕食時血糖値と睡眠の質に与える影響 ―オープンラベルランダム化クロスオーバー試験―」
第73回日本家政学会において、カルビー株式会社と愛国学園短期大学との共同研究として公表されました。
図

目的

急激な食後血糖値の上昇を示す血糖値スパイクは、糖尿病や心臓疾患など様々な病気のリスクになる可能性が報告されています。近年、間食の摂取が夕食時の食後血糖値上昇を抑制する報告がされています。
グラノーラをはじめとするシリアル食品は主に朝食で食されることが多く、間食にフルーツグラノーラを摂取した時の身体へ及ぼす影響については知られていません。フルーツグラノーラには食物繊維が豊富に含まれています。そこで我々は夕食の3時間前にフルーツグラノーラ(カルビッツ フルグラ®)を間食として摂取した時の夕食時の食後血糖値および睡眠の質に与える影響を検討しました。

方法

試験は、間食にフルーツグラノーラを食べるF群、比較対象として間食にグルコースを摂取するG群、間食をしないN群、そして摂取カロリーを揃えるためにフルーツグラノーラを夕食に追加したA群の4群を設定しました。被験者は13時までに昼食を取り終え、17時に間食を、20時に夕食を摂取してもらいました。被験者を試験スケジュールおよび夕食内容で無作為に割付をしました。間食にはフルーツグラノーラ(カルビー社製)とグルコース(日本ガーリック社製)を使用し、夕食には白米(サトウ食品社製)とおかず(ニチレイフーズ社製)を用意しました。測定項目は血糖値、睡眠の質、主観的アンケートです。血糖値測定にはFreeStyleリブレPro(Abott社製)を、睡眠の測定にはFitbit Inspire HR (Fitbit社製)を使用しました。

結果・考察

被験者は愛国学園短期大学にて公募し、スクリーニングの結果、解析対象者は28名になりました(平均年齢:32.0±13.6歳、性別:女性のみ、BMI:22.3±3.2)。 間食時の血糖値解析では、17時に間食をしたF群とG群は血糖値が上昇しますが、F群はG群に比べて血糖値上昇は抑えられていました。フルーツグラノーラとグルコースでは摂取した糖質量が異なるため、F群の血糖値上昇が抑制されていた可能性があります。加えてフルーツグラノーラには2.7gの食物繊維が含まれているため、食物繊維による糖吸収抑制作用が働いた可能性も考えられます。
夕食時の血糖値解析では、最大血糖値上昇幅はF群がいずれの群に比べても有意に低い値を示しました。AUCはF群がG群とA群と比べて低い値を示しました。間食時に摂取したFGRとその食物繊維によって、次の食事である夕食時の血糖値上昇を抑制するセカンドミール効果が働いた可能性が考えられます。 睡眠の解析では、睡眠のステージであるREM睡眠とノンレム睡眠の割合を解析しましたが、いずれの群間においても差は認められませんでした。睡眠の中途覚醒の回数は、F群が間食をしていないN・A群に比べて低い値を示しました。F群は夕食時の血糖値上昇幅が抑制されていることで、インスリンの分泌量に変化が生じている可能性があり、睡眠の質(中途覚醒の回数)に影響を与えた可能性も考えられます。

結語

夕食の3時間前に間食でフルーツグラノーラを摂取すると、夕食時の食後血糖値上昇および睡眠の質に対して有用である可能性が示唆されました。

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