研究成果
(学会発表・研究論文)

学会発表

オーツ麦を含むシリアルによる食後血糖値の上昇抑制効果

2023. 3. 14

[内容]

オーツ麦を含むシリアル(フルーツグラノーラ、ベイクドオートミール)は白米に比べて食後の血糖値変化が小さくなることが示されました。また、食後血糖値の上昇度合いを示す指標であるGlycemic Index (GI)は白米を基準(100)としたところ、フルーツグラノーラは50.7、ベイクドオートミールは44.4と算出されました。本研究により、健常な日本人においてオーツ麦を含むシリアルが食後の高血糖を防ぐのに有用な食品である可能性が示唆されました。
「オーツ麦を含むシリアルによる食後血糖値の上昇抑制効果」
日本農芸化学会2023年度大会においてカルビー株式会社と愛国学園短期大学、早稲田大学との共同研究として公表されました。

目的

オーツ麦は水溶性・不溶性の食物繊維を豊富かつバランスよく含み、中でも水溶性食物繊維のβグルカンには、食後血糖値の上昇を抑える効果が報告されています。しかしながら、日本人を対象としてオーツ麦シリアル摂取後の血糖値変化を観察した例は乏しいままでした。本研究ではオーツ麦を主原料とする2種類のシリアル(フルーツグラノーラ(FG)、ベイクドオートミール(BO))について、食後2時間までの血糖値変化を観察しました。

方法

本研究では3つの試験群(白米、FG、BO)を設定して試験を行いました。被験者には朝食として試験食を食べてもらい、食後2時間までの血糖値変化を観察しました。(図1)

図1. 試験食と栄養成分

図1. 試験食と栄養成分

結果

FG、BOを食べた場合の食後の血糖値は白米に比べて変化が小さく、IAUC(Increment Area Under the Curve;上昇曲線下面積)も低い値を示すことが分かりました。(図2)

図2. 試験食ごとの食後血糖値の変動

図2. 試験食ごとの食後血糖値の変動
(A) 試験食ごとの食後血糖値
(B) 試験食ごとのIAUC
平均値±標準誤差, N=11, *p<0.05, **p<0.01, ***p<0.001

続いて、食後2時間までの血糖値データを基にGIを算出しました。その結果、白米を基準(GI=100)とするとFGは50.7、BOは44.4と求められました。これにより、本研究で用いたオーツ麦シリアルはどちらも低GI食品に分類されることが分かりました。(表1)


表1. 白米を基準として算出されたGI
表1. 白米を基準として算出されたGI

平均値±標準誤差, N=11

まとめ

オーツ麦を主原料とするシリアルは日本人においても食後の血糖値を変化させにくく、低GI食品であることが示されました。これらの効果にはオーツ麦に含まれる食物繊維のはたらきが関わっていると考えられます。以上、本研究によりオーツ麦シリアルが食後高血糖を防ぐのに有用な食品である可能性が示唆されました。

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