研究成果
(学会発表・研究論文)

学会発表

ポップコーン抽出物によるアミロイドβ42の線維化とSH-SY5Y細胞におけるタウタンパク質のリン酸化へ与える影響の検討

2023. 5. 14

[内容]

ポップコーンは全粒穀物であるとうもろこしを原料としたスナック菓子であり、フェルラ酸を多く含むことが報告されています。ポップコーンの認知機能に対する機能性を探索するため、4種のポップコーン抽出物(PE)を作成し、PEがアミロイドβ42(Aβ42)の線維形成とタウタンパク質(Tau)のリン酸化へ与える影響を検討しました。
4種類のPEのうち、NaOH-PEはAβの線維化を遅延させる結果を得ることが出来ました。ウエスタンブロット法(WB)ではNaOH-PE の添加によりオカダ酸添加で誘導されるTauのリン酸を抑制しました。ポップコーン抽出物は今後新しい認知機能改善の材料になりうる可能性を示唆するものと考えられます。

目的

ポップコーンは全粒穀物であるとうもろこしを原料としたスナック菓子であり、食物繊維やポリフェノール類、特にフェルラ酸を多く含むことが報告されています。フェルラ酸は、認知症の原因の一つであるアミロイドβ(Aβ)の蓄積を抑制することが報告されています。アルツハイマー型認知症はAβの凝集・蓄積およびタウタンパク質(Tau)のリン酸化による神経原線維変化が原因により認知機能が低下すると言われています。これまでにポップコーンを用いた認知機能への影響を調べた報告はありませんでした。そこで、ポップコーンの認知機能に対する機能性を探索するため、ポップコーン抽出物(PE)を作成し、PEがAβ42の線維形成とTauのリン酸化へ与える影響を検討しました。

結果

ポップコーンを粉砕後、熱水、80%エタノール、HCl、NaOH各溶液で抽出し、4種のポップコーン抽出物(PE)を作成しました。4種類のPEのうち、NaOH-PEが総ポリフェノール量、抗酸化能ともに高い値を示しました。PEに含まれるポリフェノール類を高速液体クロマトグラフィー法(HPLC)で解析したところ、NaOH-PEにはフェルラ酸348.9 mg/100 g、p-クマル酸18.1 mg/100 gが含まれていました。Aβ42線維形成をチオフラビンT(ThT)蛍光アッセイで評価したところ、NaOH-PEはAβの線維化を遅延させました(図1)。ヒト神経芽細胞腫由来SH-SY5Y細胞を用いてリン酸化Tauをウエスタンブロット法(WB)にて解析すると、NaOH-PE の添加によりOAで誘導されるリン酸Tauを抑制しました(図2)。

これらの結果から、NaOH-PEにはAβ42線維化の抑制とSH-SY5Y細胞におけるTauのリン酸化を抑制する可能性が示唆されました。

図1. 図2

まとめ

本研究はポップコーン抽出物がアミロイドβの線維化やタウタンパク質のリン酸化へ影響を与える可能性を示唆する成果であり、今後機能性関与成分の同定や起用機序の解明を進めていくことで、トウモロコシやポップコーンの抽出物が新しい認知機能改善の材料になりうる可能性が期待されるものと考えられます。

学会発表のトップへ戻る

ページ上部へ

ページ上部