研究成果
(学会発表・研究論文)

学会発表

小学生の朝食にグラノーラスナックを追加することによる栄養充足率の改善と睡眠・排便状況への影響
-オープンラベルランダム化クロスオーバー試験-

2023. 5. 28

[内容]

小学生が朝食において普段の食事内容に加えてグラノーラスナックを追加摂取した時、朝食における栄養バランスの改善および睡眠リズムの変化、排便回数の増加が確認されました。本研究より、小学生においては朝食の摂食量や栄養バランスが睡眠や排便といった日々の生活習慣とも結びついていることが示唆され、子どもにとって適切な朝食を考えるうえでの知見を示しました。
「小学生の朝食にグラノーラスナックを追加することによる栄養充足率の改善と睡眠・排便状況への影響 -オープンラベルランダム化クロスオーバー試験-」
日本家政学会第75回大会においてカルビー株式会社と愛国学園短期大学、早稲田大学との共同研究として公表されました。

目的

食習慣や食事の質は我々の健康と深く結びついている要素です。特に朝食は一日で最も重要な食事とも考えられている一方で、現代社会では栄養の偏りや朝食抜きといった不規則な習慣も多く見られ、これらは糖尿病や肥満のリスクと関係することも報告されています。その中でも成長期における朝食での栄養不足は顕著で、朝食での平均エネルギー摂取量は一日全体の約20%に留まると報告されており、これは心身の発達に重要な時期において解決に取り組むべき課題であると考えました。
しかしながら、栄養バランスの整った朝食を準備することは現実的に大きな負担となりえます。そこで我々は普段の食事に手軽に食べられる食品を追加する方法ならば、量的・質的に栄養バランスを改善しうるのではないかと考え、小学生の普段の朝食へグラノーラスナックを追加した場合の栄養バランスの変化および睡眠・排便状況の変化を観察しました。

方法

小学生26名を対象として、「普段の朝食を食べる期間」と「グラノーラスナックを追加で摂取する期間」を設定し、朝食への介入試験を実施しました (図1)。それぞれの期間中の朝食での栄養充足率を求めて比較したほか、アンケートベースで睡眠(睡眠時間・起床時刻・就寝時刻)と排便(回数・便秘状態・便性状)について評価を行いました。

図1. 試験の概要

図1. 試験の概要

結果

グラノーラスナックを追加した朝食では16種類の栄養素で充足率の向上が確認されました。特に、鉄分や食物繊維、ビタミンB1、ビタミンDの充足率が大きく向上しました (図2)。

図2. 充足率が向上した栄養素

図2. 充足率が向上した栄養素

グラノーラスナックの追加摂取による睡眠状況の変化を観察したところ、就寝時刻に変化は見られませんが、起床時刻が早まることが分かりました(図3)。
特に週末の起床時刻の変化が大きく、平均15分早まる結果となりました。

図3. 起床時刻の変化

図3. 起床時刻の変化

排便状況の変化としては、週における排便回数が平均1.2回増加すると確認されました(図4)。便性状や便秘については普段から状態が良く、グラノーラスナック追加による変化は見られませんでした。

図4. 一週間の排便回数の変化

図4. 一週間の排便回数の変化

まとめ

小学生を対象として介入を行った本研究では、朝食でのグラノーラスナック追加摂取により、栄養バランスの改善、睡眠時間の変化、排便回数の増加が見られました。得られた結果より、朝食の量と質(栄養バランス)は一日全体の生活リズムと関係していることが示唆されました。これは心身の発達段階である子どもの健康にとってより良い朝食を考えるうえで有用な知見を示したと考えています。

なお、本研究の内容は2023年4月25日に査読付き国際学術誌「Children」(オンライン)に掲載されました。
タイトル:” Effects of Additional Granola in Children’s Breakfast on Nutritional Balance, Sleep and Defecation: An Open-Label Randomized Cross-Over Trial”
著者名:Yuma Matsumoto, Hiroyuki Sasaki, Hirofumi Masutomi, Katsuyuki Ishihara, Shigenobu Shibata, Kazuko Hirao, Akiko Furutani
https://doi.org/10.3390/children10050779

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