地球環境への配慮
プラスチックによる環境負荷の低減
カルビーグループは、商品の品質低下を防ぐため、包装容器にプラスチック素材が持つさまざまな機能を活用してきました。近年の海洋プラスチック問題や、石油資源の枯渇、化石燃料由来のプラスチックによる温室効果ガスの排出などの社会課題に取り組むために、使用するプラスチック量を可能な限り削減し、環境配慮型素材への転換を図り、カルビーグループの持続的な成長と持続可能な社会の実現を目指します。
主な取り組み
石油由来プラスチック容器代替・削減の目標
カルビーは、パッケージフィルム自体の薄膜化や包装容器サイズ縮小によってプラスチックの使用量を減らしています。しかし、アルミ蒸着フィルムは、複数の素材を組み合わせていることから、各層の素材を分離することが難しく、水平リサイクル※が容易にできないという課題があります。カルビーは、2019年5月に政府が発表した「プラスチック資源循環戦略」に盛り込まれたマイルストーンを踏まえ、2020年度にプラスチック容器代替・削減に関する目標を定めました。カルビーグループはプラスチックの使用量を減らし、バイオマスプラスチックなどの新規素材の採用やリサイクル技術の開発を協働で取り組み、資源循環社会の実現に貢献します。
- ※ 使用済みのパッケージフィルムを原料として使い、同じものを新たに作るリサイクルのこと
プラスチック包装使用量削減の取り組み
2022年度、ポテトチップス大容量サイズの商品シール部分の幅を狭くして、プラスチック包装使用量を減らす取り組みを実施しています。今後もさらなる包装容器の縮小および薄膜化に向けた技術開発を、設備メーカーやフィルムサプライヤーと協働で進めていきます。
バイオマスプラスチックの活用
石油から新たに作られるプラスチックを削減するため、スタンドパック商品のパッケージフィルムの一部にバイオマスPETを採用、2023年度から「かっぱえびせん」の一部商品などに採用を拡大しています。印刷に使用するインキについてはバイオマスインキに切り替えて進めています。
バイオマスPET一部使用例
スタンドパック商品におけるチャック削減の取り組み
お客様アンケートの結果、食べきりサイズのスタンドパック商品におけるチャックの使用頻度が50%未満※の一部商品を対象に、チャックのない新包装形態へ2024年6月から順次切り替えを行いました。この取り組みにより、年間約40トンの石油由来プラスチック使用量削減を見込んでいます。
- ※ 2023年11月カルビー調べ
対象の一部商品
株式会社アールプラスジャパンへの資本参加
2021年2月より、カルビーは株式会社アールプラスジャパンへの資本参加を行い、使用済みプラスチックの再資源化事業に協働で取り組んでいます。
株式会社アールプラスジャパンは、米国のバイオ化学ベンチャー企業であるアネロテック社(Anellotech Inc.)とともに、環境負荷の少ない効率的な使用済みプラスチックの再資源化技術開発を進めています。
日本ではペットボトル以外のプラスチックの多くが燃焼されて処理されていますが、株式会社アールプラスジャパンではペットボトルを含む使用済みプラスチックを原料とし、キシレンのみならず、エチレンやプロピレンなど、一般的なプラスチックの粗原料が生成できる技術に取り組んでいます。
従来のケミカルリサイクル※よりも短い工程で処理できる技術により、温室効果ガス排出量の低減やエネルギー必要量の抑制および使用済みプラスチックの効率的な再生利用を目指します。
- ※ 水平リサイクルの一つ。使用済みパッケ-ジフィルムを分子レベルまでに処理するリサイクル技術。
資源循環に向けた実証実験
カルビーでは将来的なプラスチック資源循環を目指し、株式会社アールプラスジャパンが中心となり、参加企業各社と共同で使用済みプラスチックの再利用化に向けた回収の取り組みを推進しています。
2022年に千葉県東金市「道の駅 みのりの郷東金」、2023年「イトーヨーカドー横浜別所店」において、使用済み食品用プラスチック容器の回収実証実験を実施。また、「相模原市立橋本小学校」では、SDGs学習の一環として、児童と回収実験・資源化に取り組みました。
回収した使用済みプラスチック容器は、品質や量の調査を行い、株式会社アールプラスジャパンのリサイクル技術への適合性の検討を行っています。