環境と人権を尊重した責任ある調達
環境と人権を尊重した責任ある調達を目指して、2016年に制定した「カルビーグループ調達ポリシー」を2022年に改定しました。カルビーグループは、さまざまな原材料を国内外のサプライヤーを通して調達しています。サプライチェーン上の環境や人権などの社会課題についてアセスメントを行い、サプライヤーエンゲージメントを強化し、リスク対応や機会創出に取り組んでいます。
環境や人権を考慮した方針・ポリシーの制定
「カルビーグループ行動規範」を基に、事業を取り巻く大きな社会環境の変化に対応するため、各方針・ポリシーを制定、改定しました。
制定・改定年月 | 該当ポリシー等 | 制定・改定のポイント |
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2018年2月 | 英国現代奴隷法に関する表明 | 国際的に認められた人権を尊重し、強制労働、人身取引、児童労働を容認しないことを以降毎年表明 |
2021年10月 | カルビーグループ行動規範 | 国際社会の活動を行うため、国際規範に準拠した「人権の尊重」を組み入れ |
2022年4月 | カルビーグループ調達ポリシー改定 | サプライチェーン上の人権・環境課題に対する取り組みを進めることを明示 |
カルビーグループパーム油調達方針 |
NDPE※を支持し、環境破壊や人権侵害に加担していないパーム油の調達を実施することを制定 ※NDPE: No Deforestation,No Peat,No Exploitation=森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ |
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2024年3月 | 国連グローバル・コンパクトに署名 | 国連グローバル・コンパクトの4分野である人権・労働・環境・腐敗防止を支持することを署名 |
カルビーグループ人権方針 | 人権に関する基本的な考え方を明記し、カルビーグループにとっての重点課題を特定 |
調達アセスメントの拡充
2023年度から、環境保全や人権尊重、法令遵守に関する取り組みについてアセスメントを実施しています。2024年度は、国内外のべ100社を超える取引先にご協力いただくとともに、より良いサプライチェーン構築を目指した情報交換も行ないました。
アセスメントの主な内容
CSR調達 セルフ・アセスメント質問表
(一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの「サプライチェーン分科会」より発行されている「CSR調達 セルフ・アセスメント質問表」に準拠)
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・CSRに関わるコーポレートガバナンス
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・人権の尊重に関する取り組み
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・労働慣行に対する基本姿勢
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・環境の取り組みに対する基本姿勢
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・公正な企業活動の推進
カルビーオリジナル質問
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・パーム油や紙など持続可能な原料調達に関わる推進体制の確認
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・環境問題への取り組み内容の確認
責任あるパーム油調達の推進
これまでのRSPOの取り組み
パーム油はアブラヤシという植物から採れる油の総称です。このパーム油は単位面積あたりの収穫量が多く、生産効率も高いことから、世界でもっとも生産されている油とも言われています。その生産量の約80%を占めるインドネシア、マレーシアでは近年、アブラヤシ農園の開発に起因する森林伐採や生物多様性の損失といった環境破壊、強制労働や児童労働などの人権侵害が大きな社会課題として指摘されています。
RSPO※1認証パーム油は、そのような環境問題や人権問題が起こらないように生産されたパーム油です。
カルビーグループは2022年4月までに、国内全工場でマスバランス方式※2の認証パーム油に切り替えを完了しました。
認証パーム油の取り組み
年月 | 内容 |
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2020年1月 | RSPOに加盟 |
2020年5月 | ブック・アンド・クレーム方式※3により、国内工場使用量相当の認証クレジットを購入開始 |
2021年3月 | マスバランス方式の認証取得 |
2021年7月 | 国内工場の一部で認証油に切り替え |
2022年4月 | パーム油を使用するカルビー全国内工場(14拠点)でマスバランス認証油に切り替え |
2022年9月 | 主力商品4種類6品目のパッケージにRSPOラベル表示開始 |
パーム油サプライヤーとのこれからの取り組み
パーム油の持続可能な調達には、サプライヤーとの協働が不可欠です。カルビーグループでは、2022年からパーム油の主要サプライヤーとの関係を強化し、トレーサビリティ向上のための搾油工場リスト(ミルリスト)を入手してサプライチェーンの把握に努めるとともに、保護価値の高い森林のモニタリング・保全、各種の情報交換を実施しています。さらに、サプライヤーを含めた地域社会や自然環境のあり方を俯瞰的に考える「ランドスケープアプローチ※4」による、サステナビリティ向上にも取り組んでいます。
※1 RSPO:持続可能なパーム油のための円卓会議(Roundtable on Sustainable Palm Oil)の略称。WWF(世界自然保護基金)とパーム油産業に関わるステークホルダー(メーカー、小売り、環境団体など)によって設立された非営利の会員組織
※2 マスバランス方式:製造・流通過程で認証油と非認証油が混合される認証モデル。物理的には非認証油も含んでいるが、購入した認証油の数量は保証される方式。
※3 ブック・アンド・クレーム方式:認証油のクレジットが生産者と最終製品製造者・販売者との間でオンライン取引されるモデル。生産者が認証パーム油の生産量に基づいて発行した認証クレジットを、最終利用者が購入することで、認証パーム油の生産者を支援する仕組み
※4 ランドスケープアプローチ:貴重な生態系とそれらが提供する不可欠なサービスを保全しながら、社会的、経済的、環境的な目標を同時に達成するために、土地の配分と管理をさまざまなステークホルダーとともに改善すること
