マテリアリティの見直し

2020年5月にマテリアリティを特定して以降、新型コロナウィルス感染症の拡大、人権問題の顕在化やカーボンニュートラル宣言の広がり、自然資本の重要性の高まりなど、カルビーグループのサステナビリティ経営にも影響を及ぼす可能性のある外部環境の変化が起きています。
そこで、2022年6月よりマテリアリティの見直しを開始し、いくつかのステップを経て検討を重ね、12月のサステナビリティ委員会にて、5つのマテリアリティと13の課題に再特定をいたしました。

新たに特定したマテリアリティ

マテリアリティ特定/見直しのプロセス

マテリアリティを再特定するにあたり、以下のプロセスにて検討を行いました。

STEP1 KPI進捗の内部レビュー

取り組みを推進する各分科会ごとにヒアリングを実施しました。本部長をはじめとして実務担当までを含め、各視点から様々な課題・意見を集め、テーマ単位で情報をまとめました。

STEP2 外部評価分析

サステナビリティに関する外部環境の変化について、各種文献を調査し、最新動向を整理しました。さらにそれらが食品業界におよぼす影響を踏まえ、Step1でまとめた情報と照らし合わせ、カルビーグループと関係の深い社会課題を抽出しました。

STEP3 マテリアリティマップ見直し

Step2の外部環境分析結果を踏まえ、2軸の重要度「ステークホルダー」と「自社」に基づき、抽出された各社会課題を再評価し、マテリアリティマップを見直しました。

自社における重要度
ステークホルダーにとっての重要度
  • カーボンニュートラルの達成
  • プラスチックによる環境負荷の低減
  • 循環型社会の推進
  • 食の安全・安心の確保
  • 健やかなくらしへの貢献
  • 持続可能な原料生産
  • 環境と人権を尊重した責任ある調達
  • 環境と人にやさしい物流
  • 働き方の多様性(少子高齢化・感染症による変化)への対応
  • 自然資本の保全
  • 消費者意識の多様化に応じた新たな価値提供
  • ダイバーシティ・インクルージョンの推進
  • 地域コミュニティへの貢献

STEP4 マテリアリティ見直し

マッピングした各社会課題を整理し、マテリアリティと外部環境の関係性について見直しを行いました。その結果、新たに5つのマテリアリティと13の課題を特定しました。

STEP5 施策・KPIの見直し・最終化

内部ヒアリングを行った分科会や新たな関係部署とともに、新マテリアリティの主要施策およびKPI案について協議しました。また、外部有識者よりこれらの見直し手順・マテリアリティ案に対してのご意見・ご助言を受け、妥当性の確認を行いました。
最終的にサステナビリティ委員会(第7回/2022年12月)にて、新マテリアリティとKPI案の承認を受け、新たなマテリアリティとして特定し、取り組みを進めています。

外部有識者へのヒアリングによる、妥当性の検討

マテリアリティの再特定について、外部の視点も交えて検証を行うため、2名の有識者にヒアリングを実施しました。いただいた意見を踏まえてマテリアリティの再特定を行っています。

写真:赤羽 真紀子

CSRアジア日本代表
赤羽 真紀子

国内・国外の企業のCSRやサステナビリティの活動について豊富な知見をお持ちで、国際的にも通用するサステナビリティ経営を実現するためのご意見・ご指摘をいただきました。

  • 海外で事業を展開する食品メーカーへの期待値として、原料調達における小規模農家への配慮、工場職員の賃金保証、プラスチック包材に関する取り組みでのより厳しい評価の目があります。
  • 海外企業においては、KPIの開示よりも壮大な目標を設定する傾向があります。我々はこういう会社で、こんな社会を作りたいから、こういった取り組みをするという表現をする会社が多く、日本のようにKPIやPDCAの推進を重視しない傾向にある点が違います。また、英語の開示媒体を通じたコミュニケーションの際の英語表現についても注意が必要です。
  • 動物の福祉(アニマルウェルフェア)は今後重視されていきます。開示の際にマテリアリティとして記載する必要はないものの、内部においては議論を開始していることを見直しのプロセスを開示する際に表現できると良いと思います。
写真:河口 眞理子

立教大学21世紀社会デザイン研究科 特任教授
河口 眞理子

サステナビリティ全般について高い専門性をお持ちであり、カルビーグループにとっての外部環境変化や、ステークホルダーが期待を寄せる点について、ご意見・ご指摘をいただきました。

  • プラスチックの代替は社会的ニーズが高く、主要な食品会社の取り組みと比べて不十分だという印象を持たれる可能性があるので、マテリアリティや重点テーマとして明示しても良いと思います。
  • 継続してマテリアリティとしている「持続可能な農業生産」と新たにテーマを設けた「自然資本の取り組み」との関係について、自然資本への取り組みを上流に置き、カルビーが理念として大切にしている「自然の恵み」といったキーワードを前面に出すことや、カルビーを主語にできなくとも、農家との共創ストーリーを描くことが大切であると思います。
  • マテリアリティとして大きな項目に入れ込む必要はないが、アニマルウェルフェアについては検討しておくべき課題です。特に卵については指摘されやすい傾向があります。

前マテリアリティの実績と評価

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