「人権の尊重」への取り組み
カルビーグループは、「私たちは、自然の恵みを大切に活かし、おいしさと楽しさを創造して、人々の健やかなくらしに貢献します。」という企業理念のもと「カルビーグループ行動規範」を掲げています。ステークホルダーとの共創によって自然の恵みを活かした新たな価値を提供し、持続可能な社会の実現を目指します。私たちは、バリューチェーンのあらゆる事業活動において、直接または間接的に人権に影響を及ぼす可能性があることを認識し、私たちのビジネスに関わるすべての人々の人権を尊重する責任があります。私たちは、2024年3月に「カルビーグループ人権方針」を制定しました。本方針に則り、「人権の尊重」に関わる活動を進めています。目下の重点課題は、「サプライチェーン上の人権問題」「外国人労働者の権利」「ハラスメント」です。
1.「人権の尊重」の取り組み経緯
年月 | 取り組み内容 | 補足説明 |
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2006年1月 | ヘルプライン運用開始 | |
2006年4月 | カルビーグループ行動規範制定 | |
2018年2月 | 英国現代奴隷法に関する表明 | 以降毎年表明 |
2021年10月 | カルビーグループ行動規範改定 | 「人権の尊重」をタイトルに明示 |
2022年4月 | カルビーグループ調達ポリシー改定 | |
カルビーグループパーム油調達方針制定 | ||
CSR調達セルフ・アセスメント | 当初53社に実施、拡大継続中 | |
2024年3月 | カルビーグループ人権方針制定 | 社内外に開示 |
国連グローバル・コンパクト署名 | ||
2024年4月 | 「人権尊重推進プロジェクト」発足 | |
2024年8月 | 人権デュー・デリジェンス実施 | カルビー・国内関係会社を対象 |
2024年9月 | 「人権尊重ニュースレター」発行 | 従業員向けの啓発 |
2024年10月 | 「人権の尊重」への取り組み | 企業Webサイトにて開示 |
2025年2月 | 「ビジネスと人権」eラーニング | 経営層を対象に実施 |
2025年4月 | 人権委員会設置 |
2.2024年度の主な取り組み
1)人権デュー・デリジェンス(以下、人権DDと記載)の実施
従業員とともに
カルビーとカルビー国内関係会社に対して人権上の問題がないか、2024年度より人権DDを開始しました。人権DDを進めるために、診断項目の設定を行いました。今回は、労働時間や労働安全衛生・外国人労働者・技能実習・差別など8つのカテゴリーを定め、約 150 の質問項目を準備しました。その質問項目に対して、カルビーグループ国内17工場のうちの12工場の人事担当者から回答を得ました。外国人労働者在籍工場については、人権DDの担当者らが直接訪問の上、本人やその指導者・上司などにヒアリングを実施しました。今回の人権DDで確認された内容は以下のとおりです。法令に関わる案件は即時対応完了しています。
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・外国人労働者の契約や管理方法(対応完了)
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・外国人労働者が就労する現場で、掲示する説明資料が、従事する外国人が理解できる言語で準備されていないケースの散見(対応継続中)
取引先とともに
(1)CSR調達セルフ・アセスメント
2022年4月の「カルビーグループ調達ポリシー」改定を契機に、主要取引先を対象としてグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンのCSR調達セルフ・アセスメント・ツールをもとにカルビー独自の質問を加えた調査を拡大しながら実施しています。海外の取引先との取り組みも進めています。その結果から、人権方針が制定されていないなど「人権の尊重」の取り組みに関しての対応が遅れている取引先に対し改善を依頼し、個別フォローを行っています。
(2)パーム油農園・搾油工場視察

2024年視察時のパーム油農園での収穫風景
カルビーグループは、日本に輸入されるパーム油の約6%を生産工程の調理油として使用しています。調理油として世界で最も多く使用されるパーム油は、主にインドネシアやマレーシアなどで生産されており、原料となるアブラヤシの栽培・生産工程では、農園開発に起因する森林破壊や、新たな泥炭地林の開発による生物多様性の損失・劣化、強制労働・児童労働などの人権侵害が懸念されています。そのため、取引先と対話を行い、ミルリスト(搾油工場の会社名や所在地のリスト)の入手などを進め、前年度に引き続き、2024年度も現地の状況を正しく把握するために農園や搾油工場を訪問しました。今後も取引先とのエンゲージメントを強化し、詳細な状況の把握に努め、社会課題の解決に取り組んでいきます。
関連リンク:責任あるパーム油調達の推進
2)苦情処理メカニズムの構築と救済措置
連結子会社のうち、国内すべてと海外の一部に対して、法令違反・社内ルール違反・ハラスメント相談に関する社内外の通報・相談窓口を設置しています。国内の取引先に対しても同様の対応を行っています。これら通報・相談の内容は、関係者内で固く秘密が守られ、通報したことによって会社から不利益な扱いを受けることがないよう、公益通報者保護法上の「公益通報」に該当する通報・相談として保護されています。
(1)従業員からの苦情処理
法令違反・社内ルール違反・ハラスメント相談などにおいて、問題を早期に発見し解決するために以下を設けています。
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・社外通報・相談窓口の設置
連結子会社のうち、国内すべてと海外の一部に、社外の通報・相談窓口を設置しています。(対応言語:日本語・英語・中国語) -
・コンプライアンス相談員の選任
カルビーの各事業所と国内カルビーグループ各社にコンプライアンス相談員を選任しています。 -
・社内通報・相談窓口の設置
社内にメールや書面で通報・相談できる窓口を設けています。
(2)取引先からの苦情処理
国内の取引先に対しても、同様に社外の通報・相談窓口を設置しています。カルビーグループが取得した通報者のプライバシーは厳密に保護されます。受け付けた案件については、速やかに調査し、問題の解決を図ります。
3)教育・啓発活動

2024年度、経営層と人権尊重推進プロジェクトのメンバー58名を対象に、「ビジネスと人権」eラーニングを実施致しました。「人権とは」、「ビジネスと人権の考え方」から「合理的配慮の提供」、「鉱物紛争」に至るまで人権に関するさまざまな問題・話題を広範囲に学習しています。実施後、「自分の考えと相手の想いが違う事によるハラスメントがあるので注意をしなければならない」、「サプライチェーンマネジメントの重要性を改めて認識した」などの声が寄せられました。
人権尊重推進プロジェクトからは、定期的に「人権尊重ニュースレター」を国内の従業員に配信しました。「なぜ企業は人権を尊重しなければならないのか」、「人権DDの必要性や取り組み」などをお知らせしました。
3.「人権の尊重」推進体制
2024年度は、代表取締役社長兼CEOの江原がオーナーとなり「人権尊重推進プロジェクト」を立ち上げました。人権DDの実施、経営層向けの教育、従業員向けに「人権尊重ニュースレター」発行などを実施しました。本プロジェクトの活動を受けて、2025年度は、「人権委員会」を設置いたしました。カルビーグループ人権方針のもと、人権DD、苦情処理メカニズムの構築、ステークホルダーエンゲージメントの推進、「人権の尊重」に関する教育啓発を活動の中心に据えて取り組みを進めていきます。