多様性を尊重した全員活躍の推進

全員活躍実現に向けた人的資本の最大化

国内の人口減少や高齢化による市場縮小、健康志向の高まり、食行動の多様化、気候変動による原材料リスクの増加など、従来の延長線上では成長が困難な状況となりつつあります。こうした環境変化の中、カルビーグループは「人財」を競争優位性の源泉、企業価値向上、そして持続的な成長を支える最重要の経営基盤と位置づけ、人的資本経営の推進に取り組んでいます。

人的資本経営の全体像

カルビーグループは、成長戦略「Accelerate the Future」の実現に向け、創業以来の利他の精神を基盤に、「全員活躍」を人的資本経営の最上位方針として掲げています。
人的資本経営の実践にあたり、「全員活躍」を「多様な人財が強みを活かし、組織・社会への貢献と自身の成長を通して、幸せと誇りを感じる」と再定義しました。すべての社員が自分の役割に意義を感じ、挑戦し、成長できる環境をつくることを大切にしています。その積み重ねを、企業としての競争力や社会への提供価値を高めることにつなげていきます。

人的資本における価値創造ストーリー

カルビーグループは、成長戦略から導いた重点課題に対し、人財・組織の変革に向けた施策を体系的に推進しています。これらの施策を通して、価値創出サイクルを加速させ、成長戦略で掲げている稼ぐ力向上、資本効率向上、成長期待向上を実現し、企業価値向上につなげていきます。

企業理念、成長戦略、人財ビジョンを起点に、人財課題への対応と人財投資を通じて、α人財とβ人財の協働による価値創造サイクルを実現し、企業価値向上を目指す人的資本経営の全体像を示した図

α人財×β人財の協働による好循環サイクル

カルビーグループが持続的な価値創造を実現していくためには、特に国内を中心とした既存事業の収益力を高める取り組みと、海外市場の成長および新領域の拡張に向けた挑戦が欠かせません。この価値創造を支える原動力が「イノベーション」です。イノベーションは、新しい商品や事業を生み出すことだけではなく、日々の業務における小さな気づきや工夫・改善の積み重ねにより、生産性を向上し、高い品質や安全・安心を提供する取り組みも含みます。そこで「地道な努力、工夫・改善を重ね、未来に引き継いでいく人財(α人財)」と「既存の枠にとらわれず、未来を切り拓いていく人財(β人財)」の両方をカルビーが求める人財像と定義しました。いずれもかけがえのない大事な人財であり、利他の精神をもって相互に尊重することが全員活躍の土台と考えています。

α人財による工夫・改善は、生産性を高め、安定した利益をもたらします。その利益は海外市場での成長や新規領域の拡大に向けた投資の原資となります。β人財による既存の枠にとらわれない市場開拓や新たな価値の創出は、顧客の拡大と売上成長につながります。そして、事業が拡大した先では、α人財が安定的な利益を創出するための工夫・改善を重ねます。さらに、現場で積み重ねた改善や気づきを通して、新たな価値の種をもたらします。この好循環サイクルは、収益性(利益拡大)と成長性(売上成長)を生み出し、稼ぐ力向上、資本効率向上、成長期待向上を実現する基盤です。これを加速する鍵となるのが、α人財とβ人財の協働です。利他の精神のもとでお互いの強みを活かし合うほど、一つひとつの工夫・改善や新たな挑戦は質を高め、循環はより確かなものになっていきます。

α人財とβ人財の協働により、工夫・改善、新規創出、売上成長、利益拡大を循環させ、企業価値向上を目指す価値創造サイクルを示した図

カルビー独自の全員活躍指数(人的資本インデックス)

カルビー全員活躍指数(人的資本インデックス)は、人的資本経営の最上位方針である「全員活躍」の実現度を可視化する独自のKPIです。
本指数は、「α人財とβ人財の活躍実感スコア」の合計値に「相互信頼スコア」を乗じて算出します。活躍実感スコアは、「全員活躍状態」「キャリア自律」「心理的安全性」の3つの観点から日々の取り組みを通して一人ひとりの成長や貢献実感を測定し、相互信頼スコアは、利他の精神をもってお互いを尊重し協働する状態を測定します。
「活躍実感スコア」が高まるほど、工夫・改善や新たな挑戦が活発化します。加えて「相互信頼スコア」が高まるほど、協働する組織風土がより強固となり、好循環サイクルは加速します。
2026年3月期の指数は80.67となり、3期連続で上昇しました。特に、相互信頼スコアの向上が指数全体の伸長を牽引しています。活躍実感スコアはα人財・β人財ともに上昇しましたが、キャリア自律スコアは両者において相対的に低い水準にとどまっており、今後の重点課題として取り組んでいきます。

α人財活躍実感スコアとβ人財活躍実感スコアに相互信頼スコアを掛け合わせて算出する「カルビー全員活躍指数」の構成と、2024年3月期から2026年3月期までの推移を示した図

未来を創るコア人財の育成強化

カルビーグループの事業は、国内人口の減少や高齢化に伴う市場縮小、健康志向の高まり、食行動の多様化、気候変動による原料調達リスクの増加などにより、従来の延長線上での成長が難しい環境に直面しています。こうした環境変化を踏まえ、2035年に向けた成長戦略「Accelerate the Future」では、「国内事業の収益性向上」「海外事業の成長」「新領域拡張」という3つの方向性を掲げ、事業ポートフォリオの転換を進めています。この転換を着実に実現するためには、それを担う人財ポートフォリオについても、戦略との整合を図りながら転換することが不可欠です。

DX人財、アグリ領域専門人財、グローバル人財、β人財について、事業戦略との関係、人財関連の機会・リスク、人財戦略および指標・目標を整理した図

転換を担う4つのコア人財

この考えのもと、優先的に充足すべきコア人財として、「DX人財」「アグリ領域専門人財」「グローバル人財」「既存の枠にとらわれず、未来を切り拓いていく人財(β人財)」の4類型を特定しました。これらの人財の計画的な確保・育成を通じて、持続的な成長を支える人財ポートフォリオの構築を進めています。

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    DX人財
    ~工場を中心としたDXやS&OPの推進による生産性・品質向上を担うDX人財~
    国内事業においては、工場DXやS&OP(最適販売稼働計画)によるサプライチェーン最適化を通じて、生産性・品質向上および収益力強化を推進しています。その実現に向けて、DXやAI技術を活用し、課題解決できるDX人財の育成を強化しており、「DX名匠」「DX匠」「データ達人」「DX修練者」の4段階からなる人財認定制度を構築するとともに、「AIアカデミー」や「データ分析活用講座」などの育成プログラムを通じて、2031年3月期までにDX人財500人体制(うち認定者182人)を目指しています(2026年3月期実績:171人)。DX活用の拡大は品質・生産性向上につながる一方、DX人財の不足や育成の停滞は、生産性低下やコスト増加を招き、企業として競争力低下を招くリスクがあると認識しています。
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    アグリ領域専門人財
    ~自然素材の原料の安定的確保を支えるアグリ領域の専門人財~
    当社グループは、自然素材を活かした事業を主に展開しており、気候変動に伴う原料調達リスクへの対応力強化を重要な経営課題の一つと位置づけています。品種開発、栽培省力化および貯蔵・輸送技術の高度化などによる安定的収穫量の確保を担うアグリ領域の専門人財は、安定供給と持続可能な事業運営を支える重要な基盤です。今後は、甘しょなどを含む自然素材原料も視野に入れつつ、まずは当社の主要原料であるばれいしょを優先対象として、種子から圃場、原料に至る一連の領域を「先進技術の導入」「新品種の開発」「貯蔵技術の確立」「原料配送の最適化」の4領域に整理した「ばれいしょ人財ポートフォリオ」を策定し、専門人財の要件定義および育成体系の構築を進めていきます。一方で、こうした専門人財の不足や知見継承の停滞は、原料供給の不安定化を招くリスクがあると認識しています。
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    グローバル人財
    ~カルビーの独自性・強みを海外へ伝承し、現地とともに戦略を推進するグローバル人財~
    海外事業においては、日本で培った技術・知見・ブランド価値を基盤とし、現地と一体となった能動的な戦略推進体制の構築を進めています。その実現に向けて、カルビーの独自性・強みを海外へ伝承し、海外市場での成長を推進できるグローバル人財の育成を強化しており、各地域・各機能における重要ポジションを可視化し、経営の後継候補はCxOサクセッションプランと連動して検討する一方、スタッフ候補はGlobal Talent Pool(人財データベース)を活用して抽出・選定します。人財の拡充に向けては、2027年新卒採用からの「グローバルコース」新設に加え、海外拠点での実務を通じて異文化対応力を養う「海外トレーニー制度」や、次世代リーダー育成プログラム「CNLP(Calbee Next Leader Program)」などを展開しています。グローバル人財の増加は海外成長加速につながる一方、人財不足は事業の成長機会の損失につながるリスクがあると認識しています。
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    β人財
    ~既存の枠にとらわれず、未来を切り拓いていく人財~
    当社グループは、既存事業の競争力強化に加え、新たな価値創出や成長領域の拡大に取り組んでいます。その実現に向けて、未知の領域や変化を前向きに捉え、従来の枠組みにとらわれずに新たな価値や成長機会を生み出せる人財の発掘・育成を進めています。こうした人財は、新規事業の創出だけでなく、市場開拓や新たな技術・仕組みの開発など、当社グループの未来の成長を導く重要な役割を担います。挑戦・変革を担う人財の増加は新たな価値創出につながる一方、人財不足や挑戦の停滞は将来の成長機会を逸失するリスクがあると認識しています。

DE&I経営の推進

カルビーグループは、多様な人財が自分らしさや強みを活かし、社会や顧客に価値を生み出すDE&I経営を推進しています。性別、国籍、年齢、障がいの有無、価値観などの違いに関わらず、すべての従業員がその人らしく能力を発揮できるよう、心理的安全性や働きやすさの向上を含めた社内環境の整備に取り組み、立場に関係なくチームで協働することで、多様な価値観や強みを活かしたイノベーションの創出につなげています。

推進体制

DE&I推進の専任部門を2010年に組織し、本格的に活動を開始しました。現在は、本社部門の全員活躍推進室と、事業所(グループ各社を含む)ごとの人事部門推進担当が連携しながら活動しています。全社的な活動施策を実施すると同時に、各拠点の課題解決や浸透度の向上のための活動も行っています。

全員活躍推進室を中心に、事業所人事担当およびグループ会社人事担当が連携してDE&I推進活動を行う体制図

女性活躍推進

カルビーは、女性が従業員の約半数を占めています。「女性活躍がカルビーグループの成長を加速する」という信念のもと、管理職の女性比率が従業員比率と同等になることを目指し、女性管理職比率を2030年度30%超とする目標を掲げています。
トップマネジメントによるリーダーシップのもと、計画的で継続的な女性の登用と、各種研修やワークショップの実施、働きやすさや働きがいのある職場環境の整備などに取り組んでいます。

女性管理職比率

女性管理職数と女性管理職比率の推移を示したグラフ。女性管理職数は増加傾向にあり、2026年3月期は82人、女性管理職比率は26.5%で、2030年目標は30%としている。

女性の活躍を支援する取り組み

取り組み 内容
食品企業合同女性社員研修 将来のありたいキャリアを考え、その実現に向けた一歩を踏み出すことを目的として、食品企業各社のロールモデルから学び合う研修
女性リーダー育成プログラム 将来のリーダー候補として、ライフとワークの両立およびキャリアの実現に向けたマインドセットと課題発見・解決力向上を目的とした選抜型研修
女性管理職企業間交流研修 女性管理職が、周りを巻き込みながら組織の課題解決を完遂するスキルを向上させるとともに、社外ネットワークを広げ、今後の活躍の一助とする研修
育児休業復職時セミナー 復職者が不安を抱えることなくスタートを切るために、上司との対話や先輩社員の経験談などを通して仕事と育児を両立するマインドとノウハウを形成する
妊娠~育児期までの
コミュニケーションサポート
妊娠~育児期までの上司と部下におけるコミュニケーションのタイミングや方法をハンドブックで周知し、スムーズな休業と復職をサポート
女性リーダー育成プログラムの様子

女性リーダー育成プログラム

健やかな心と体づくりの推進

従業員の健康支援体制の拡充や健康推進施策の実施により、従業員の心身の健康を支える環境は着実に整備が進んでいます。一方で、病気やメンタル不調による欠勤・休職の予防に取り組む一方、出勤していても本来の力を十分に発揮できない状態(プレゼンティーズム)が生産性に影響しており、従業員一人ひとりが主体的に健康づくりに取り組む意識・行動の定着が課題です。すべての従業員が心身ともに健やかな状態で、自らの強みを発揮しながら活躍できる状態を目指し、より柔軟な働き方を支援・推進するとともに、健やかな心と体づくりを推進しています。

多様な働き方・効率的な働き方を支える取り組み(働き方改革の変遷)

カルビーグループは、1991年のフルフレックスタイム導入を皮切りに、時代の変化に合わせて働き方改革を進めてきました。2014年には在宅勤務制度としてモバイルワークの運用を開始し、2017年には場所・回数の制限を撤廃、2020年にはコアタイムを廃止するなど、従業員が自ら選択し、効率的に生産性高く働ける環境を段階的に整備しています。

フレックスタイム制、ペーパーレス化、モバイルワーク制度、ハイブリッドワーク導入など、カルビーの働き方改革の取り組みの変遷を示した年表

多様な働き方を支援する制度

主な制度 内容
モバイルワーク 2014年に在宅勤務制度として運用開始。2017年に場所・回数の制限を撤廃
リターンエントリー ライフイベントやキャリアアップなどで退職し、再入社を希望する場合に、優先的にチャレンジできる
フルフレックスタイム 1991年から導入。2020年7月よりコアタイム(必ず勤務する時間帯)を廃止
社員申請型遠隔勤務制度 所属する組織の拠点に住居を構えずとも、モバイルワークを基本とした働き方で業務遂行に支障がないと会社が判断した場合に、出張もしくは最寄りの事業所で働くことができる

ハイブリッドワーク

カルビーでは、2025年より、モバイルワークと出社を柔軟に組み合わせ、仕事の目的や成果から逆算して、働く場所や時間を自律的に選択する「カルビーハイブリッドワーク」へ移行しました。コロナ禍を経て、オフィス勤務者がモバイルワークを活用した業務遂行が可能であることを確認すると同時に、リアルコミュニケーションの重要性をそれぞれが実感し、出社してチーム内外で対面で活動する機会が増えてきました。ハイブリッドワークにより、出社とモバイルワークそれぞれの強みを活かしながら、上司・メンバーともにリアルコミュニケーションを選択しやすい環境を実現し、チームや個人が自律的に働く場所と時間を選択し、成果の最大化を目指しています。この移行にあわせて本社オフィスを増床・リニューアルし、「社内外問わず組織を越えて成果を生みだす空間」として活用しています。

増床・リニューアルした本社オフィスの様子
増床・リニューアルした本社オフィスの様子

本社オフィス

健康推進への取り組み(健康経営推進体制)

カルビーグループは、企業の成長には従業員とその家族の健康が不可欠との考えから、2016年より健康経営に本格的に着手しています。従業員が心身ともに健康で豊かな人生を歩み、やる気とチャレンジ精神を持って、明るくイキイキと働ける「健康企業」を目指し、健康リテラシー(知識・行動)を高める施策の実施と、医療職による専門的支援を両輪で進めています。
健康経営は、健康宣言に基づき健康推進部門が中心となって推進しており、「上司/職場」「事業所担当者」「産業医/産業保健師」「カルビー健康保険組合」が連携し、従業員一人ひとりがイキイキと活躍するための仕組みづくりに取り組んでいます。

従業員の健康増進に向けて、上司・職場、事業所担当者、健康推進部門・産業医・産業保健師、健康保険組合が連携し、健康診断やストレスチェック、健康支援活動、職場環境改善などを通じて従業員の健康を支援する推進体制図

一次予防としては、産業医による講話配信や役職者向けラインケア研修などのヘルスリテラシー向上策、2017年の「禁煙宣言」に基づく敷地内全面禁煙、過重労働対策などに取り組んでいます。二次予防・三次予防としては、健康診断受診率100%の達成、毎年のストレスチェック実施、休職者への復職支援、がん経験者の自助グループ運営など、疾病の早期発見・両立支援にも力を入れています。

「健康経営優良法人2026」に認定

健康経営優良法人のロゴ

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